概要
移転価格文書のうち、企業グループの事業規模を問わない点で適用範囲が広く、国外関連当事国ごと、あるいは地域・業種ごとに作成を迫られるローカルファイルに焦点を当て、作成上検討すべき論点や留意点を詳細解説。
目次
第1章 移転価格ローカルファイル(LF)とは何か
第1節 ローカルファイル(LF)の目的及び作成義務
第2節 ローカルファイルと他の移転価格文書との関係
第2章 ローカルファイルを作成する
第1節 ローカルファイルの作成要領
第2節 取引の認識及び単位
第3節 機能リスク分析
第3章 ALP算定方法の選定
第1節 算定手法の長所及び短所
第2節 国外関連取引の内容及び各当事者の果たす機能等に対する算定方法の適合性
第3節 算定方法を適用するために必要な情報の入手可能性
第4節 国外関連取引と非関連者間取引との類似性の程度
第5節 重要な無形資産の認定-ケーススタディ
第6節 無形資産取引-ケーススタディ
第7節 「切出し損益」について
第8節 比較対象企業の選定
第9節 算定手法の適用-差異調整について
第10節 外国の移転価格法規との関係
第4章 ローカルファイル作成事例を学ぶ
第1節 本書のローカルファイルサンプルの利用法(国税庁のローカルファイルサンプルとの比較を念頭に)
第2節 ローカルファイル作成事例
第5章 マスターファイル(MF)の作成事例を学ぶ
第1節 マスターファイルの提出基準は一定ではない
第2節 マスターファイルの記載事項
第6章 重要な無形資産の認定
第1節 移転価格分析における重要な無形資産の認定の重要性
第2節 無形資産の認定に関する議論の乏しさと本稿の意義
第3節 重要な無形資産の認定基準と個別の無形資産の認定上の問題点
第4節 個別の無形資産の認定上の問題点
第5節 手続面(認定を支える証拠及び評価上の留意点)
第6節 証拠の評価上の留意点
第7章 事前確認制度の活用
第1節 事前確認制度のポイント
第2節 年次報告書
著者紹介
大沢拓
弁護士・カリフォルニア州弁護士(ジョーンズ・デイ法律事務所)。平成23年7月から平成25年7月まで、大阪国税局調査第一部国際調査審理官(任期付職員)。任期中、相当数の移転価格事案に関与し、任期満了後は、文書化案件への助言の他、移転価格税制に関する発信(セミナー、著作)を行う。
牛島慶太
大阪国税局国際情報第1課長、調査第一部調査管理課長、総務部次長を経て平成26年7月堺税務署長で退官、同年税理士登録。関西大学非常勤講師。
平野潤一
大阪国税局調査審理課長、調査第二部総括課長を経て平成28年7月姫路税務署長で退官、同年税理士登録。移転価格関係部署としては、同局国際情報第2課長、特別国税調査官(移転価格担当)、国際情報課課長補佐、国際情報専門官を歴任し、移転価格課税から相互協議合意を経た課税処理決着までの課税案件、申出から審査に至るAPA案件に多くの関与経験を持つ。
梶巻重幸
国税局調査部経験は24年に及び、その間国際調査課、国際情報課、庁国際業務室併任等、国際関係課で15年の勤務経験を持つ。移転価格関係では、国際調査専門官時代にIGS(グループ内役務提供)通達化等に携わり、その後は国際情報課課長補佐、主任国際調査審理官、国際情報第1課長を歴任し、多数の課税事案への関与経験を有する。平成28年7月東住吉税務署長で退官、同年税理士登録。
坂本安孝
大阪国税局入局、移転価格の草創期以後通算9年移転価格事務に従事する。平成22年退官、その後税理士法人トーマツで移転価格コンサルタント業務に従事、平成27年9月税理士事務所を開業、16年以上の移転価格実務の経験を有する。この間、移転価格調査、相互協議支援、事前確認(APA)の審査及びサポートなど多数の案件への関与経験を持つ。