概要
わが国における移転価格税制の創設から現在に至るまでの変遷とその背景、現行制度理解のためのポイントについて、著者の国税当局での経験を踏まえつつ整理・解説。「OECD移転価格ガイドライン」の関連個所を随所に掲載するとともに、課税事案に関する重要判例も紹介。
目次
第1章 移転価格税制の概要
1 移転価格税制の意義
2 独立企業原則
3 OECD移転価格ガイドライン
第2章 日本の移転価格税制の沿革
1 移転価格税制年表
2 移転価格税制導入の背景
3 移転価格税制導入後の変遷
第3章 法令の変遷と解説
1 移転価格税制の創設(昭和61年度税制改正)
2 延滞税・還付加算金に係る特例措置の創設(昭和62年度税制改正)
3 国外関連者寄附金に関する見直し(平成3年度税制改正)
4 取引単位営業利益法の導入(平成16年度税制改正)
5 国外関連者の範囲の拡充(平成17年度税制改正)
6 納税猶予制度の創設(平成19年度税制改正)
7 価格算定文書の法制化(平成22年度税制改正)
8 ベストメソッドルールの導入(平成23年度税制改正)
9 ベリー比の採用(平成25年度税制改正)
10 みなし国外関連取引に関する見直し(平成26年度税制改正)
11 移転価格文書化制度の導入(平成28年度税制改正)
12 DCF法の導入(令和元年度税制改正)
第4章 措置法通達の変遷と解説
1 特殊の関係
2 独立企業間価格の算定方法の選定
3 比較対象取引
4 独立企業間価格の算定
5 利益分割法の適用
6 取引単位営業利益法の適用
7 ディスカウント・キャッシュ・フロー法の適用
8 棚卸資産の売買以外の取引における独立企業間価格の算定方法の適用
9 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の適用
10 申告調整等
11 国外移転所得金額の取扱い等
第5章 事務運営指針の変遷と解説
1 事務運営の基本方針等
2 移転価格文書化
3 調査
4 独立企業間価格の算定等における留意点
5 国外移転所得金額等の取扱い
6 事前確認
第6章 税務執行の変遷と解説
1 前期の執行状況(~2010年)
2 後期の執行状況(2011年~)
3 相互協議の状況
第7章 判例紹介
1 今治造船事案(平成18年10月 高松高裁)
2 タイバーツ事案(平成18年10月 東京地裁)
3 アドビ事案(平成20年10月 東京高裁)
4 エスコ事案(平成25年3月 東京高裁)
5 本田技研事案(平成27年5月 東京高裁)
6 上村工業事案(令和元年7月 東京高裁)
7 日本碍子事案(令和4年3月 東京高裁)
8 IHI事案(令和6年12月 東京高裁)
著者紹介
廣田 知之(ひろた ともゆき)
国税庁調査課国際情報第二係長、同課主査、神戸税務署副署長、長浜税務署長、大阪国税局調査第一部国際情報第二課長、同部国際調査課長、同局調査第二部次長、下京税務署長などを経て、令和4年7月退官。同年8月税理士登録。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。企業や大手会計事務所の税務顧問、社外監査役などを務める。



