概要
職員の人事労務や情報管理、退職の際の顧問先の引き抜きから生じる損害の発生から、税目別の税賠トラブル事例まで、税理士事務所をめぐるリスクを多角的に捉え、原因の解明と防止策を解説。
目次
序 章 リスクマネジメントと不祥事対応の全体像
1 平時の予防体制の構築
2 有事の対応
第1章 税理士事務所の危機管理
Ⅰ 従業員管理
1 就業規則~就業規則の不備
2 問題職員に対する処分①~譴責、戒告、減給、降格、出勤停止、諭旨解雇
3 問題職員に対する処分②~懲戒解雇
4 問題職員に対する処分③~退職勧奨
Ⅱ ハラスメント対策
1 パワーハラスメント~リスクの把握と対応
2 セクシュアルハラスメント~リスクの把握と対応
3 マタニティハラスメント~リスクの把握と対応
4 カスタマーハラスメント~リスクの把握と対応
Ⅲ 情報の収集・漏えい
1 採用時の情報収集~職員採用時の人権侵害
2 内部通報対応~通報者への不利益取扱い
3 生成AIの利用~信頼性と情報漏えい
4 サイバー攻撃~事務所のサイバーセキュリティ保全
5 情報漏えい①~従業員等による漏えい
6 情報漏えい②~システムベンダーによる漏えい
7 SNSの利用①~事務所公式アカウントの不適切利用
8 SNSの利用②~職員個人アカウントの不適切利用
Ⅳ 人事労務
1 残業代~未払残業代の請求
2 在宅勤務・テレワーク~テレワーク時の業務管理
3 フリーランスの活用~フリーランスとの契約
4 従業員による副業~副業の許可とリスク
Ⅴ その他
1 自然災害リスクとBCP~予期せぬ災害に対する備え
2 原稿の執筆・セミナーの実施~著作権法違反
3 インサイダー取引~上場会社関係情報の取扱い
4 税理士の事務所からの独立~退職時トラブルの把握
5 税理士法人における連帯責任~責任の所在
第2章 税理士の職業倫理
1 脱税・過度な節税依頼への対応~関与先からの脱税相談等
2 名義貸し~非税理士に対する名義貸し
3 二ヶ所事務所の設置~税理士事務所以外で業務を行う場合
4 業際業務への関与~税理士の遺産分割協議への参加
5 自己脱税等~自己脱税等の発覚
第3章 税務上の損害賠償請求トラブルと対策
Ⅰ 法人税関係のトラブルと対策
1 法人税関係①~給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除の不適用
2 法人税関係②~試験研究費特別控除
3 法人税関係③~青色申告承認申請書の提出失念
Ⅱ 消費税関係のトラブルと対策
1 消費税関係①~簡易課税制度選択不適用届出書の提出失念
2 消費税関係②~課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書の提出失念
3 消費税関係③~課税区分の誤り
Ⅲ 相続・贈与税関係のトラブルと対策
1 相続税・贈与税関係①~小規模宅地等の特例の適用誤り
2 相続税・贈与税関係②~小規模宅地等の特例の適用を受けた宅地の売却
3 相続税・贈与税関係③~住宅取得等資金の贈与の適用
4 相続税・贈与税関係④~空き家特例の適用に係る申告時の説明・助言指導義務
Ⅳ 所得税関係のトラブルと対策
1 所得税関係①~顧客提出資料の確認・精査義務
2 所得税関係②~疑似ストックオプションの権利行使時期
Ⅴ タックスプランニング関係のトラブルと対策
1 タックスプランニング関係①~合併に伴う繰越欠損金の引継ぎ
2 タックスプランニング関係②~資産譲渡に係るコンサルティング契約
3 タックスプランニング関係③~事業承継業務に係る不法行為等の成立
4 タックスプランニング関係④~株式交換
Ⅵ その他のトラブルと対策
1 その他①~税理士法人の担当者の仮装行為
2 その他②~税理士監査役の責任
3 その他③~弁護士法23条の2に基づく照会に対する報告
4 その他④~税理士事務所の承継・事業譲渡
著者紹介
【著者略歴】
野村 彩(のむら あや)
弁護士、公認不正検査士
第二東京弁護士会・和田倉門法律事務所所属。神奈川県立湘南高等学校、慶応義塾大学法学部政治学科、立教大学法科大学院法務研究科卒。2007年12月から弁護士業務に従事し、企業法務・訴訟業務を中心的業務とする鳥飼総合法律事務所を経て、同事務所より独立した和田倉門法律事務所にて業務を行う。取扱いは、不祥事調査・危機管理、企業犯罪対応、内部通報対応、コーポレート(株主総会指導、取締役会対応、役員報酬設計、コーポレートガバナンス・コード対応、各種規程類レビュー等)、役員責任訴訟、企業支配権争い、人事労務トラブル、ハラスメント、IPO支援ほか。複数の企業の社外役員に就任。
〈執筆・論文〉
「公認不正検査士の不正調査手法」(会計・監査ジャーナル連載・2025)、「経営者のためのハラスメント・アップデート講座」(Governance Q 連載・2024―現在)、「人事労務に関わるコンプライアンス講座(全6回)」(WEB労務行政連載・2024)他
〈書籍〉
『税理士業務のための民法改正ハンドブック 相続法編』(第一法規・2019)、
『税理士業務のための民法改正ハンドブック 債権法編』(第一法規・2018)他。
研修講師として、各種公開セミナーのほか、税理士会におけるハラスメント研修の実績あり。企業内コンプライアンス等研修の実施は数百件。
原木 規江(はらき のりえ)
税理士
東京税理士会・和田倉門法律事務所所属。静岡県立藤枝東高等学校、慶応義塾大学経済学部卒。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻前期博士課程修了。複数の事業会社、税理士事務所勤務を経て、2001年税理士登録。日本税務会計学会副学会長(訴訟部門担当)(2025年~)。鳥飼総合法律事務所にて税務争訟に従事。同事務所より独立した和田倉門法律事務所にて同業務を行う。
〈執筆・論文〉
「事例研究(第210回)外国子会社合算税制における外国関係会社判定」(税研・2024)、「賃料等の引下げと寄附金課税への対応」(税理・2020)他
〈書籍(いずれも共著)〉
『弁護士が見落としがちな相続事案の税務と登記』(新日本法規・2023)、『地方税Q&A(令和3年度版)』(大蔵財務協会・2021)、『税理士業務のための民法改正ハンドブック 相続法編』(第一法規・2019)、『裁決例・裁判例から読み解く後発的事由をめぐる税務』(清文社・2018)、『税理士業務のための民法改正ハンドブック 債権法編』(第一法規・2018)他



