概要
民事信託(高齢者の「財産管理」と「財産の承継」を目的とする信託)を中心に取り上げて、その法的又は実務上の問題点を整理するとともに、解決策についても示唆。また民事信託のアドバイザー業務・支援業務の担い手としてのあり方についても、弁護士、司法書士の立場からそれぞれ整理・解説。
目次
第1章 民事信託の現状認識と問題点
第2章 高齢者の財産管理
第1節 高齢者の財産管理
第2節 法定後見制度と任意後見制度
第3節 高齢者の財産の運用
第4節 高齢者の財産管理における民事信託の活用と課題
第3章 財産の承継
第1節 遺言・死因贈与と信託
第2節 遺言代用信託・後継ぎ遺贈型受益者連続信託
第3節 生命保険と遺言代用信託
第4節 事業承継と信託
第5節 高齢者の財産承継における民事信託の活用と課題
第4章 民事信託における利益相反
第5章 民事信託における信託財産の独立性
第1節 信託口口座と信託口口座論
第2節 信託口口座の開設手続
第3節 「信託口口座」とは何か
第4節 信託口口座の苦難-乗り越えるべき課題
第6章 信託の登記
第1節 民事信託の実務のための信託の登記の仕組み
第2節 民事信託のための信託登記の実務(-家族信託の登記に固有
な申請構造を巡る初めての登記先例-)
第7章 信託銀行・信託会社における高齢者の財産管理・財産承継
第1節 ニーズ
第2節 信託業者が提供する高齢者向け信託商品
第3節 今後の課題
第8章 アメリカにおける民事信託
第1節 はじめに
第2節 アメリカの民事信託の特長
第3節 専門家の役割と責任
第4節 信託の中核を担う受託者の概況
第9章 民事信託における規制法上の問題点
第1節 民事信託における信託業法及び金融商品取引法における問題
第2節 信託銀行による民事信託に関するアドバイザー業務に関する信託業法の規制
第3節 民事信託における宅地建物取引業
第10章 民事信託におけるアドバイザリー業務
第1節 弁護士におけるアドバイザリー業務
第2節 司法書士における民事信託支援業務-業務としての法的根拠論を中心として
第11章 民事信託における税務・会計
第1節 民事信託の税務
第2節 民事信託の会計
第12章 高齢者の財産管理と財産承継における民事信託の今後のあり方
著者紹介
【編著】
田中 和明(たなか・かずあき)
〔第2章 第3節、第3章 第1・3・4節、第9章の執筆を担当〕
三井住友信託銀行株式会社 法務部研究主幹
公益財団法人トラスト未来フォーラム 研究主幹
2004年10月~2016年6月 元法制審議会臨時委員(信託法部会)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科 博士(経営法)
東北大学大学院法学研究科客員教授、慶應大学大学院法務研究科非常勤講師、
関西学院大学法学部非常勤講師、元一橋大学大学院法学研究科客員教授
《主な著書・論文》
・『詳解 信託法務』(清文社、2010年)
・『信託法案内』(勁草書房、2019年)
・『信託の80の難問に挑戦します!』
井上聡監修・田中和明編著、共著(日本加除出版、2021年)
・『信託法務大全第1編(信託法)』(清文社、2023年)
・『信託法務大全第2編(信託規制法・関連法)』
田中和明・小出卓哉編著(清文社、2024年)
西片 和代(にしかた・かずよ)
〔第8章、第12章の執筆を担当〕
弁護士(神戸パートナーズ法律事務所)
ハワイ大学法科大学院国際客員実務家コース2017年修了
《主な著書・論文》
・「ハワイの高齢者法と医療に関する意思決定」共同執筆(法の支配189号、2018年)
・「日本の弁護士にとっての信託実務のポテンシャル~アメリカの実情を踏まえて~」
(信託フォーラム13号、2020年)
・「日本版撤回可能信託の可能性~民事信託の更なる活用に向けて」
『成年後見・民事信託の実践と利用促進』共著(日本加除出版、2021年)
・『10年先の日本の民事信託の姿を見据えて』編著・共著(民事法研究会、2024年)
【著者】 (五十音順)
金森 健一(かなもり・けんいち)
〔第1章、第5章の執筆を担当〕
弁護士(東京弁護士会)
金森民事信託法律事務所所長
駿河台大学法学部特任准教授
高齢者向け管理型信託会社にて、信託会社設立業務専従者、法務コンプライアンス部長、
副社長執行役員を歴任。2021年より現職。
《主な著書・論文》
・『弁護士専門研修講座 民事信託の基礎と実務』
東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編(ぎょうせい、2019年)
・「『民事信託』実務の諸問題⑴~⑿」(駿河台法学、2019年~(続刊))
・『新相続法と信託で解決する相続法務・税務Q&A』税理士法人タクトコンサルティングほか編
(日本法令、2020年)
・「(連載)ここからはじめる!民事信託実務入門」(信託フォーラム16号~、2021年~)
・『民事信託の別段の定め 実務の理論と条項例』(日本加除出版、2022年)
渋谷 陽一郎(しぶや・よういちろう)
〔第6章、第10章 第2節の執筆を担当〕
司法書士、元新生信託銀行法務部長、 元新生銀行 NBFS本部次長、
元格付機関ムーディーズ格付アナリスト、全国通訳案内士
《主な著書・論文》
・『証券化のリーガルリスク』(日本評論社、2004年)
・『民事信託のための信託監督人の実務』(日本加除出版、2016年)
・『民事信託における受託者支援の実務』(民事法研究会、2016年)
・『民事信託の実務と書式【第2版】』(民事法研究会、2020年)
・『裁判例・懲戒事例から学ぶ民事信託支援業務の執務指針』(民事法研究会、2022年)
・『信託登記のための信託目録の理論と実務【第2版】』(民事法研究会、2023年)
・『Q&A家族信託大全』(日本法令、2023年)
・『家族信託ハンドブック1~2』(テイハン、2024年)
杉山 苑子(すぎやま・そのこ)
〔第2章 第1・2・4節、第3章 第5節の執筆を担当〕
弁護士(青木・杉山・成瀬法律事務所)
名古屋大学法科大学院客員准教授
日弁連信託センター 副センタ―長
《主な著書・論文》
・「信託と任意後見の一体的活用」(信託フォーラム12号、2019年)
・「弁護士から見た民事信託の留意点」(家庭の法と裁判35号、2021年)
・『やさしい信託法』共著(日本加除出版、2023年)
・「民事信託と後見制度を併用する場合の諸問題」共著
(家庭の法と裁判44~50号、2023~2024年)
・「相続と民事信託」(税務弘報72巻4号、2024年)
多賀 亮介(たが・りょうすけ)
〔第4章、第10章 第1節の執筆を担当〕
弁護士(弁護士法人原合同法律事務所)
日弁連信託センター副センター長、第一東京弁護士会司法研究委員会委員長
《主な著書・論文》
・「電子出版のための著作権信託モデル契約条項と解説」(NBL1045号、2015年)
・「シンポジウム『GDPRと情報信託の交錯』パネルディスカッション
『情報の信託的管理と弁護士の役割』」(金沢法学62巻2号、2019年)
・「信託契約書作成のポイント」(自由と正義71巻3号、2020年)
・「民事信託をめぐる裁判例の動向《座談会》
東京地裁平成30年9月12日判決を通して見る信託への専門家の関与の在り方」
(信託フォーラム16号、2021年)
・「日弁連『民事信託業務に関するガイドライン』の解説」(信託フォーラム19号、2023年)
田村 恵子(たむら・けいこ)
〔第3章 第2節の執筆を担当〕
あさひ法律事務所パートナー弁護士
《主な著書・論文》
・「株式に関する訴訟と信託」井上聡編著『株式と信託に関する研究』
(トラスト未来フォーラム研究叢書№97、2024年)
長屋 忍(ながや・しのぶ)
〔第7章、第11章の執筆を担当〕
三井住友信託銀行 信託開発部 主管
不動産鑑定士 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
《主な著書・論文》
・『詳解 民事信託 実務家のための留意点とガイドライン』田中和明編著、共著
(日本加除出版、2018)
・『信託の80の難問に挑戦します!』井上聡監修・田中和明編著、共著
(日本加除出版、2021年)
・「信託を活用した身上保護・財産管理」新井誠編集代表
『高齢社会における信託活用のグランドデザイン第1巻
信託制度のグローバルな展開と我が国の課題』(日本評論社、2023年)
・「いわゆるジョイントアカウントについて」新井誠編集代表
『高齢社会における信託活用のグランドデザイン第2巻 ESG投資を信託受託者責任』
(日本評論社、2024年)
・「米国のUCTAからわが国の民事信託への示唆」西方和代編著
『10年先の日本の民事信託の姿を見据えて』(民事法研究会、2024年)