定を定めるのに対し、借地借家法は、借地と借家という、限定された特別な分野に関する規定を定めます。一般法と特別法の優先関係一般法と特別法の間には、「特別法は、一般法に優先する」という原則があります。これは、特別法が一般法と異なる規定をしているときは、特別法の規定を優先して適用することです。逆にいえば、特別法による規定がなければ、一般法の規定を適用します。ですから、同じ事柄に関する規定が借地借家法と民法にあるときは、借地借家法を適用します。そして、借地借家法の規定がない事項については、民法を適用します。例として、賃貸借の更新拒否に関する両法の規定を見ましょう。民法は、619条で期間満了したあとも賃借人が使用または収益を継続する場合に賃貸人が異議を述べないと更新したものと推定するとし、期間満了時に更新拒否できることになっています。しかし借地借家法では、民法を修正して建物賃貸借について期間満了の6か月前までの間に更新拒否の通知をしなければ更新拒否できないとし、しかも同法28条で更新拒否に正当の事由が必要とし、賃借人を保護しています。(賃貸借の更新の推定等)民法第619条賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用または収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件でさらに賃貸借をしたものと推定する。(以下省略)(建物賃貸借契約の更新等)借地借家法第26条建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知または条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。(以下省略)7第1節不動産契約へのはじめの一歩
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