Q1-6Aデューディリジェンス(略して、デューデリという)とは、Due(当然の)、Diligence(努力)という意味で、企業の買収・合併(M&A)、不動産の証券化、投資用不動産の購入、プロジェクト・ファイナンスへの融資などにおいて、その適格性を検討するための詳細な調査のことをいいます。6第1章不動産調査の基本的事項りすることにつながります。不動産は他の一般的な商品と比較して高額であることが多く、誤った判断をしてしまった場合、その影響は甚大になります。また、まったく同じ不動産は存在しないという特徴があるため、チャンスを逃すと、次にその不動産を売買できる機会がいつ訪れるかはわからず、とりかえしがつかない可能性もあります。不動産仲介における重要事項説明制度など、一応取引当事者間で正しい情報を共有する仕組みはありますが、それだけで当事者が必要とするすべての情報を得られるとは限りません。もし、正しい情報をすべて得られなかったことにより判断を誤ったとしても、それは必ずしも他人のせいではなく、十分な調査を行わず、限られた情報や不正確な情報で判断した側にも責任があるのです。不動産投資に関していえば、土地・建物の物的および法的調査を行い、投資対象として取得・保有する際の問題点を把握し、また、得られるキャッシュフロー等の経済的調査を行って、最終的に適正な投資価値を決める作業です。不動産投資におけるデューディリジェンスは、主に物的調査、法的調査、経済的調査からなり、必要に応じて外部専門家も活用しながら、十分な時間とコストを投じて行われます。デューディリジェンスという用語自体は、説明したとおり企業買収や大規模な不動産投資において活用されることが多いのですが、その考え方は不動産の利用・取引・承継等におけるすべての場面で有用であり、参考にすべきものです。個々の不動産の状態は千差万別であり、魅力的に見える不動産であっても、デューディリジェンスとは
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