皆さんは、「買い物」について深く考えたことがあるでしょうか。買い物には大まかにふたつの場面があります。ひとつは、スーパーで食品や日用品を購入するような場面、もうひとつは、大型家電や自動車、そしてマイホーム(住宅)などの大きな買い物をする場面です。どちらの場面でも、価格と品質のバランスを考えながら買い物をすることでしょう。たとえば、卵には安い卵と高い卵がありますが、高い卵はその理由がパッケージで説明されていますから、安い卵との違いを理解して購入することができます。しかし、大型家電や自動車になると、価格と品質とのバランスを比較することが難しくなります。その理由は、品質を比較するために専門的な知識が必要になるからです。さて、ここでマイホーム(住宅)を取引する場合を考えてみましょう。住宅(不動産)には、多種多様な規制があり、取引となれば多くの手続きが必要になります。また、個々の土地や建物の状態は千差万別であり、判断するためには豊富な専門知識と経験が必要になることでしょう。もし取引にあたり知識や経験が不足していると、後々思わぬトラブルに遭遇する可能性もあります。本書は、不動産取引のために不動産を調査するにあたり、関係があると思われる知識を簡潔にわかりやすく説明するよう心がけました。特に、不動産は資料に記録されている内容と、現実の状態が異なることも多々ありますので、記録と現実の状態に違いが生じた場合の解消方法について、私達の実務経験をふまえて説明しています。本書の執筆にあたっては、以下の点を重視しました。まえがき
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