人的資本経営と情報開示
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 273 本書は、経営リーダーをはじめ、日本企業を支える皆様が「人的資本経営」というテーマに対峙し、求められる法定開示という課題を超えて、長期的価値を向上させる取り組みとしてこれを推進させる上でのヒントを提供できればという思いで、EY Japanの各サービス部門の専門家が集結し、執筆したものです。 我々が所属するEYは、世界150カ国以上の国・地域に拠点があり、約36万5,000人のメンバーを擁し、プロフェッショナルファームとして初めてパーパス(存在意義)を明確に示したとされる組織です。我々は、「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」をパーパスとして掲げ、世界で最も信頼される傑出したプロフェッショナル集団を目指し、我々の定義する4つの価値、すなわち顧客価値、人的価値、社会的価値、財務価値を長期的に高めるために具体的な目標を設定し、年次の進捗結果を統合報告書において開示しています。このうち、人的価値については、「従業員体験」「雇用者に対する信頼」「DE&I」「ウェルビーイングの向上」をKPIとして、EYグローバルで統一化された人事・キャリア構築支援制度を導入・運営し、組織パフォーマンスの改革・改善に取り組んでいます。 本書は、第1章をEY新日本有限責任監査法人のサステナビリティ開示推進室が担当し、なぜ今人的資本経営なのかをテーマに、国内外における人的資本開示の動向も含め、企業が人的資本経営に取り組むべき背景と世界の潮流について解説しました。 続く第2章と第3章は、人事コンサルティング部門であるピープル・アドバイザリー・サービスが担当しました。第2章では、これからの人的資本経営の中心課題の一つである人事戦略と経営戦略との連動をいかに実現するかを、プロジェクト事例も踏まえながら紹介しました。第3章では、人的資本経営の先進企業6社の組織・人事部門のおわりに

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