人的資本経営と情報開示
37/46

・・・・・出所:JICPA「企業情報開示に関する有用性と信頼性の向上に向けた論点の検討」(2021年5月)を参考にEY Japanが作成254B. 報告フレームワークや開示基準A. KPIを算定するための一定の基準サステナビリティ報告書GHG 排出量廃棄物量xxxトンxxxトン・・xx%・・・女性管理職比率C. 情報開示に関する企業内部のガバナンスとプロセスの整備と運用D. 第三者による監査・保証と関連基準の整備いい情報をピックアップして開示し、都合が悪い情報を隠すといったことが可能です。つまり、企業によって自主的に公表される統合報告書やサステナビリティレポートにおいては、企業の裁量で情報が操作され、実際にはそうでないにもかかわらず、あたかもESGに関して先進的な企業であるかのように見せかけることが可能だということです。 これは企業によるESG情報の開示が始まったときから生じている問題ですが、企業のサステナビリティレポートが信頼できないものであれば、それに従って投資を行うことは将来において不利益をこうむるおそれがあり、サステナビリティを重視した経済社会の発展を阻害するものとなってしまいます。この虚偽の報告の可能性は、単に外部ステークホルダーに対する企業の情報提供という問題にとどまらず、企業が現状分析を行った上で将来のサステナビリティ目標をどのように設定し、それらを達成するためにどのような努⼒を行えばよいのかという戦略設計、さらには、目標設定に対する現時点の達成状況について分析する上で、企業の内部におけるサステナビリティ戦略にも重大な影響を与えうるといえます。このようにサステナビリティ情報に関する適切な開示は、外部のステークホルダーのみならず企業そのものにとっても非常に重要なのです。図表6.2-1 サステナビリティ情報の信頼性確保のための4要素

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る