人的資本経営と情報開示
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225 前節のようなニーズに応えるべく、企業が生み出すインパクトを評価・測定する手法の開発が進んでいます。その数ある手法の中で特に注目されているのが、ハーバード・ビジネススクールのジョージ・セラフェィム教授が率いるインパクト加重会計イニシアティブ(IWAI)が2019年に発表したインパクト加重会計です。ハーバード・ビジネス・スクール発行の「Impact Weighted Financial Accounts: The Missing Piece for an Impact Economy(インパクト加重会計―インパクト・エコノミーのために必要なもの)」によればインパクト加重会計とは、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表に、従業員や顧客(製品)、環境、社会全体に企業が及ぼすプラスとマイナスの影響(インパクト)を反映し、財務の健全性やパフォーマンスを補足するために追加されるものを指します。 インパクト加重会計は、経営者や投資家が慣れ親しんでいる財務会計に企業が生み出すインパクトを組み込み、インパクトを内包した貸借対照表や損益計算書等の開示をすることを目指して開発されました。図表5.2-1 インパクト加重会計のイメージB/S,P/L 勘定科目インパクト係数 第 2 節 インパクト加重会計  インパクト加重後B/S,P/L 勘定科目(1)インパクト加重会計とは何か2. インパクト加重会計 の概要と具体例

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