190コラム* 首相官邸「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.2.0の策定」2023年3月27日(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/governance_guideline_v2.html)2023年5月16日アクセス。「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及び ガバナンスに関するガイドライン Ver2.0」の策定 加速化するデジタル化の進展やサステナビリティ社会実現の要請を受けて、企業の競争力の源泉としての知財・無形資産の重要性が高まっています。一方で、日本企業の知財・無形資産の投資・活用については海外先進企業に後れをとり、PBR1倍割れや海外投資家等の日本株離れといった課題が顕在化しています。日本企業が国内外の資本市場において評価されるためには、知財・無形資産の投資・活用戦略やその開示を含む、企業価値向上に向けた取り組みが必要であると考えられています。 こうした状況のもと、企業と投資家等が相互の対話・エンゲージメントなどを通じて、企業価値創造に資する知財・無形資産の投資・活用を実行する目的で、2022年1月に「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(座長:加賀谷哲之一橋大学商学部教授、事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局・経済産業省経済産業政策局産業資金課)により、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン Ver.1.0」が公開され、その後2023年3月にVer2.0が策定されました*。 同ガイドラインでは、企業、投資家・金融機関に求められる「5つのプリンシプル(原則)」、企業に求められる「7つのアクション」、企業と投資家・金融機関との価値協創を加速するための共通枠組み「コミュニケーション・フレームワーク」が、提示されています。 また、企業価値向上に資する知財・無形資産の投資・活用の最重要ポイントは、自社の目指すべき将来の姿(To Be)を描き、現状の姿(As Is)とのギャップを埋める活動を、知財・無形資産の投資・活用を通じて具現化していくこととされています。本書が論じる人的資本だけでなく、今後は知財・無形資産を含むより広い形のバックキャスト型の戦略が企業に求められることになると考えられます。
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