第 2 節 人的資本の情報開示の本来的なあり方 59若狭:御社は、グローバルに事業を展開され、各地域の多様な人材を確保されるとともに、その能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を継続的に実施されておられます。また、中期経営計画の重点アクションの一つに「グローバル共通のジョブ型人材マネジメントシステムの定着を推進」を設定され、グローバルで統一した人材マネジメントへの変革を進めておられます。先日、新しい人材戦略を定義されつつあるとうかがいました。その概要について教えていただけないでしょうか。前田:私たちは、グローバル共通のジョブ型人材マネジメントシステムの定着のほか、過去3年にわたり、次世代を担う人材が価値創造できるような職務環境の整備、国際競争力のあるリーダーの育成といった人材マネジメントの変革を推進してきました。新しい人材戦略は、人材マネジメントを次世代型にシフトする意図をもって、「人材戦略」という名称を改め、「人的資本戦略」としてさらに改革を推し進めていく、というものです。言葉を変えるだけといえばそうなのですが、そのイメージは大きく変わります。若狭:名称は変わっても、これまでも継続的に人的資本経営を推進されてこられたと理解しております。人的資本の価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値を向上させる上で、人的資本というものをどのように捉えておられますか。前田:まず、単年度のPLのみでは、人的資本を捉えることはできず、Interview“付加価値生産性”を可視化し国際競争力、社会的企業価値を高めるシスメックス株式会社人事本部長 前田 真吾 氏
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