会社法計算書類の作成実務と記載事例
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8第1章 会社法における決算の概要と開示制度法務省令で定めるところにより、株主に対し、取締役会の承認を受けた計算書類及び事業報告(監査役、監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会及び会計監査人の監査を受けた場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む)を提供しなければならない(会437)。会計監査人設置会社においては、取締役は、監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人の監査を受けた計算書類及び監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の監査を受けた事業報告について、取締役会の承認を受けたのち定時株主総会に提出し又は提供しなければならない(会438①)。会社法第438条第1項の規定により提出され又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならないが(会438②)、会計監査人設置会社には以下の特則が設けられている。すなわち、取締役会の承認を受けた計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして、以下の①から⑤の要件のいずれにも該当する場合には、定時株主総会の承認を受ける必要はない。この場合においては、取締役は、計算書類の内容を定時株主総会に報告しなければならない(会439、会計規135)。① 計算書類についての会計監査人の会計監査報告の内容が無限定適正意見であること② 会計監査報告に係る監査役、監査役会、監査等委員会又は監査委員会の監査報告(監査役会設置会社にあっては、監査役会の監査報告に限る)の内容として会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認める意見がないこと③ 監査役は、監査役会監査報告の内容が監査役の監査報告の内容と異なる場合には、当該事項に係る各監査役の監査報告の内容を監査役会監査報告に付記することができるが、会計監査報告に係る監査役会、監査等委員会又は監査委員会の監査報告に付記された内容が会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認める意見でないこと④ 特定監査役が通知をすべき日までに監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算書類等については、監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の監査を受けたものとみなされたものでないこと⑤ 取締役会を設置していることなお、株主に提供される書類については、本章第3節「1.直接開示」を参照さ

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