解 説1 企業結合会計の適用範囲43.結合当事企業の株主に係る会計第1章 組織再編会計の総論他方、事業分離の受取対価がY社株式である場合には、X社は分離先企業であるY社を子会社化するなど事業を売却したとはいえないケースもあります(例えば、Y社の企業規模に比して移転されたx事業の規模が大きく、Y社がX社に多くの株式を発行した結果、X社がY社の発行済株式の過半数を保有することとなる場合(逆取得)が考えられる)。このような場合、x事業はX社から分離されるものの、X社は受け取ったY社株式(子会社株式)を通じて、依然としてx事業に対する投資は継続していると考えられますので、事業の移転損益を認識することは適当ではありません。事業分離等会計基準では、受取対価の種類に基づき、「投資の清算」と「投資の継続」の判断を行うものとしています(Q4-1参照)。ある組織再編が行われると、分離元企業や結合企業のみならず、結合当事企業の株主の会計処理にも留意する必要があります。図表のような会社分割の場合には、結合当事企業の株主は、会社分割の前後で株式の交換は行われませんが、このような場合であっても個別財務諸表上の会計処理が必要になるときがあります。結合当事企業の株主の会計の主要な論点は、投資先の組織再編が行われた結果、株主はどのような場合に損益を認識するかという点です。結合当事企業の株主の会計は、事業分離における分離元企業の会計と同様、「投資の清算」と「投資の継続」の概念に基づき会計処理することになります(Q5-1参照)。「企業結合」とは、ある企業又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構成する事業とが1つの報告単位に統合されることをいいます(企業結合会計基準5項)。このように、企業結合の対象を企業を構成する事業にまで
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