2.事業分離会計Y社(結合企業)はX社からx事業を受け入れるとともに、その対価として自社の株式をX社(被結合企業)に交付するものとします。この場合、Y社には企業結合会計基準が適用されることになります。X社(分離元企業(分割会社))は、x事業を切り出し、これをY社(分離先企業(承継会社))に移転させ、その対価としてY社の株式を受け取るものとします。この場合、X社では事業分離等会計基準(事業分離会計)が適用されることになります。31.企業結合会計Q1-1 組織再編に関する会計処理の全体像企業結合会計では、企業結合を「取得」「共同支配企業の形成」「共通支配下の取引」のいずれかに分類したうえで、それぞれの分類ごとに会計処理を定めています。もし、この企業結合が企業集団内の組織再編である「共通支配下の取引」として分類された場合には、Y社はx事業の受入れに際してX社における適正な帳簿価額を基礎とした会計処理が求められます。また、この企業結合が独立第三者間の取引であれば「取得」か「共同支配企業の形成」のいずれかに分類されます。そして、前者に分類された場合には、Y社はx事業の受入れに際して時価を基礎とした会計処理が求められ、後者に分類された場合には、Y社はx事業の受入れに際してX社における適正な帳簿価額を基礎とした会計処理が求められます(Q1-2参照)。事業分離会計の主要な論点は、分離元企業はどのような場合に事業移転に伴う損益を認識するかという点です。この点に関し、事業分離等会計基準では、一般に事業の成果をとらえる際の「投資の清算」と「投資の継続」という概念に基づき、実現損益を認識するかどうかを考えています(事業分離等会計基準74項)。例えば、事業分離の受取対価が現金であれば、X社(分離元企業)では、x事業を売却したことになりますので、x事業に対する投資は清算され、事業の移転損益(売却損益)を計上することになります。
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