18歳からの法律知識
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A従業員としての地位への影響●職場の情報漏えいをした場合の責任 ① 従業員の地位への影響 ② 民事上の損害賠償請求 ③ 職場も損害賠償請求等を受ける可能性 ※いずれにせよ重大な責任が生じ得るため、会社からの民事上の責任追及刑事上の責任会社側に発生する責任職場の情報は慎重に取り扱いましょう。120 職場(勤め先である会社)には、通常、従業員が守らなければならない決まりを定めた就業規則が存在します。就業規則の中には、職場で知り得た情報を外部には公表してはならないという秘密保持義務の条項や、会社に不利益を生じさせるような行為を禁止する条項等が定められていることが通常です。 ネット上に職場の情報を漏えいした場合、その情報の内容にもよりますが、上記のような就業規則違反をしたことを理由に、懲戒処分として、会社から戒告や減給等の処分を受ける可能性があります。また、故意に会社の機密情報を公開し、大きな損害を会社に与えてしまった場合には、懲戒解雇のように重大な処分がなされてしまう可能性もあります。 職場の情報をネット上に漏えいしたことにより、会社に損害が生じてしまったときには、民事上、会社から損害賠償請求をされる可能性もあります。たとえば、職場の会社の取引先との取引内容を公開したことで会社が取引先を失った場合や、未公開のサービスや商品の情報を先に公開してしまったことで、会社の広告宣伝活動等に悪影響が出た場合が考えられます。このような場合、会社が取引先から得られたはずの利益分の損害、広告宣伝活動のための外部業者との契約を再締結するための損害等、多額の損害賠償請求をされてしまうおそれがあります。 さらに、漏えいさせた情報が、会社の営業秘密にあたる場合には、その営業秘密の取得方法によっては、不正競争防止法上の不正競争行為に該当し、会社からの侵害行為の差止請求、損害賠償請求、信用回復のための措置の請求を受ける可能性があります。 営業秘密に該当するためには、その情報が秘密として管理されていて、事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、公然と知られていないことが必要です。営業秘密に該当するかどうかをめぐっては、裁判上でも争われることがよくあります。 職場の情報を漏えいさせた場合には、従業員のみならず会社側にも責任が生じる可能性があります。たとえば、漏えいさせた情報の中に取引先等の第三者の情報が含まれていた場合には、第三者から会社に対して「従業員の使用者としての責任」に基づく損害賠償請求をされることがあります。また、漏えいした情報の中に顧客等の個人情報が含まれていた場合には、被害者個人からの損害賠償を使用者である会社が受けるほかに、個人情報保護委員会から個人情報の取扱いについての是正勧告、改善命令等を受ける可能性もあるでしょう。Q5-9ネット上で職場の情報を漏えいすると、どのような責任を問われる?ネット上で、リリース前の新商品を公開し、職場の機密情報を漏らしてしまいました。私は今後、何か責任を問われることになるのでしょうか。

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