18歳からの法律知識
18/28

A投稿の削除を求める●投稿自体に対する対処 →投稿者や管理者に投稿の削除を求める ※投稿の保存もしておく●民事上の責任追及 →投稿者や管理者に対して損害賠償を請求する ※発信者情報開示請求を利用する●刑事上の責任追及 →告訴をして捜査をしてもらう第5章 インターネットに関する法律知識損害賠償を請求する刑事上の責任追及をするまとめ117 誹ひ謗ぼう中傷の投稿をそのままにしてしまうと、いろいろな人がその投稿を見てしまうかもしれません。そのため、投稿を放置したままだと、あなたの名誉が傷つく可能性があります。そこで、まずは問題となっている投稿の削除を求めることが考えられます。 では、誰に対して投稿の削除を求めればいいのでしょうか。 まず、投稿した人(投稿者)に対して、投稿の削除を求めることが考えられます。しかし、掲示板によっては、投稿者に投稿を削除する権限がない場合もあります。その場合には、掲示板の管理者、あるいはサーバー管理者に対して、問題となる投稿の削除を求めることになります。 なお、次に説明する損害賠償を請求しようと考えている場合には、削除を求めることと並行して、投稿内容を保存しておくことも大切になります。 掲示板上で誹謗中傷を行った投稿者は、他人の名誉を傷つけたことになります。そのため、誹謗中傷をされた人は、投稿者に対して、名誉毀き損そんの不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます(民法709条、710条)。しかし、投稿者を特定することは容易ではありません。特に、匿名の掲示板であれば、どこの誰が投稿したかわからないことのほうが多いでしょう。そのような場合には、プロバイダに投稿者の情報を教えてもらう「発信者情報開示請求」(詳しくはQ5-8参照)により、投稿者を特定することが重要になります。 また、誹謗中傷する投稿を放置した掲示板の管理者に損害賠償を請求することも考えられるでしょう。ただし、掲示板の管理者には常に責任が認められるわけではありません。掲示板の管理者に対して損害賠償を求めるには、一定の要件を満たす必要があります。 誹謗中傷する投稿が、刑法上の名誉毀損罪(刑法230条)や侮ぶ辱じょく罪(同法231条)にあたる場合があります。その場合、民事上の責任追及だけでなく、告訴をするなどして、刑事上の責任を追及することも考えられます。なお、侮辱罪は、SNSなどインターネット上の誹謗中傷が社会問題となったことをきっかけに改正され、令和4年7月7日に施行されました。これにより法定刑が引き上げられ、懲役・禁錮刑(法改正により令和7年6月までに「拘禁刑」に変更になる予定)と罰金刑が追加されました。 また、告訴をする場合にも、投稿者の特定が重要になります。 以上をまとめると、次のとおりです。 掲示板での誹謗中傷は、素早く対処しないと、広く多くの人に知られてしまう可能性があります。もし見つけたら、弁護士に相談するなど、すぐに対応するようにしましょう。Q5-6ネット掲示板上の 誹謗中傷への対処法は?ネットの掲示板を見ていたら、私のことを誹謗中傷する投稿がありました。このまま投稿がいろいろな人に見られてしまうと思うと不安です。誰に対してどのような責任を問えますか。

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る