A家を借りるときにかかるお金敷金とは礼金とは80建物賃貸借契約書賃料10万円のマンションを借りようとしたところ、賃料以外に敷金・礼金などが必要で、初期費用は合計で賃料の6か月分かかると言われました。敷金・礼金とはどういう費用なのでしょうか。 家を借りるときには、最初に1か月分の賃料を前払いするほかに、管理費(共益費)、敷金、礼金、仲介手数料(仲介した不動産会社に支払う手数料)、保証料(保証会社に保証してもらう場合)、火災保険、引越代などの初期費用がかかり、賃料の6か月分の初期費用がかかることも珍しくありません。これらのうち敷金と礼金についてはその違いを理解しておく必要があります。 「敷金」とは、賃借人が建物賃貸借契約に基づいて支払わなければならない費用の支払いを担保するために、契約時に賃貸人に預けるお金です。 敷金の目的は、未払賃料のほか、退去時の原状回復費用等、賃借人が賃貸人に支払うべき債務に充てることですが、退去時にこれらの費用に充ててなお残額がある場合には、賃借人に返還されることになります。 注意しないといけないのは、契約中に、賃借人の側から「賃料を払えないので敷金を充ててください」と請求することはできないことです。つまり、賃料以上に敷金を預けているからといって、賃料の支払いを拒むことはできません。 また、敷金について、敷しき引びきや敷金償却という項目がある場合があります。これは、預けた敷金から契約で定めた月数分の敷引金や敷金償却額を退去時に差し引くというものです。 これについて判例は、「一般論としては有効であるが、敷引金の額が高額に過ぎる場合には、消費者契約法第10条により無効となる」と判断しています(最高裁判所平成23年3月24日判決)。 「礼金」とは、賃料と別に契約時に賃借人に支払う費用で、ほとんどの賃貸借契約に敷金の定めはありますが、礼金はある場合とない場合があります。退去時にも返還されない点で敷金とは異なります。 建物賃貸借契約の費用の項目の名称は地域による違いがありますし、賃貸人によっても表現が異なることがあります。大事なことは項目の名称よりも、それぞれの費用がどういう性質のものか、特に退去時に返還されるものかどうかをきちんと理解しておくことです。 たとえば、契約書に権利金、保証金などの項目があった場合、それは何のための費用で、敷金のように返還されるのか、礼金のように返還されないものなのかを契約時にきちんと確認し、契約書にはっきり書いていない場合は、契約書にはっきりと書いてもらうようにしましょう。項目表物 件東京都○○区……○○マンション○○号室使用目的住 居期 間○○年○月○日から○○年○月○日まで中途解約解約日の○か月前までに申入れ賃 料1か月 ○○円管理費1か月 ○○円敷 金賃料の○か月分礼 金賃料の○か月分Q3-30敷金・礼金って何?
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