A結婚する権利とは●同性婚の考え方はさまざま●同性婚は現在の日本では認められていない同性同士で結婚する権利は?同性婚は認められていない24私は18歳の女子高校生です。私には同い年のパートナーがいて、戸籍上の性別は女性です。私はパートナーとともに添い遂げたいと思っていますが、戸籍上の性別が同性同士でも結婚することはできるのでしょうか。 そもそも、結婚をする権利というのはどういった根拠から導かれるのでしょうか。 国民の権利を規定する憲法で、結婚について直接に触れているのは24条です。 憲法24条1項には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定されています。婚姻と結婚は同一と考えてください。「両性」との文言からすれば、少なくとも男女間において結婚は可能であるため、男女が結婚する権利を保障しているものであると考えることができます。 しかし、「私」と「彼女」とは女性同士ということですので、このようにシンプルな話ではなくなってきます。 同性同士での結婚(「同性婚」といいます)については、憲法24条1項に結婚が「両性の合意のみに基づいて成立」と明確に規定されていることをめぐって考え方の対立があります。 「両性」という文言を重視すれば、憲法24条1項は同性婚を認めていないと考えることになります。この考え方は、同性婚を許すには憲法改正が必要という考え方や、24条1項ではなく幸福追求権を定めた憲法13条によって同性婚も許されるという考え方などに分かれます。 これに対し、「両性」とは書いてあるが、「合意のみ」のほうに力点があるとする捉え方もあります。もともとは結婚に戸主の同意が必要であったが、当事者の合意のみで結婚できるよう変更したという現行憲法の制定経緯を重視する考え方です。制定当時に広く問題意識を共有されていなかった同性婚を、24条1項で積極的に排除しているはずがなく、同性婚を認めるのに憲法改正は必要ないと考えます。 このほか、憲法14条1項の定める平等権の問題とする考え方もあります。 さまざまな考え方はありますが、現在の日本では同性婚は認められていません。したがって、残念ながら設例の「私」と「彼女」は結婚することはできません。 結婚できずとも、同棲して暮らしていくことは可能です。結婚の代わりに養子縁組を用いて相続権や扶養義務を生じさせたり、併せて遺言を作成するなどして実質的に夫婦関係に近づけるような取組みをしている例もあります。しかし、養子縁組では、別れる場合に離婚ではなく離縁となるため財産分与が受けられないなど、やはり限界はあります。 特徴的な取組みとして、東京都渋谷区のいわゆる「パートナーシップ条例」(渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例)があります。これは、渋谷区在住の同性カップルを対象に、夫婦と同様の権利を認めようというものです。しかし、やはり同性婚を許していない法制度のもとで行っていく取組みですから、法律との整合性がとれているか、パートナーシップで保護としては十分なのかなど、課題も指摘されています。Q2-5同性同士でも結婚できる?
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