M&A 無形資産評価の実務
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●付 録 依頼資料リスト359 無形資産評価を行うにあたっては、無形資産評価のきっかけとなった買収案件の背景や目的、買収スキームの理解から、評価対象会社の財務内容のみならず事業内容についての把握、評価対象会社が属している市場環境の検討など、社内資料から社外資料に至るまで多岐にわたる情報を収集する必要がある。依頼資料リストの作成は無形資産評価作業の準備段階から行われるが、必要となる資料を的確に特定することは意外に難しい作業であると同時に、今後の評価作業をスムーズに進めていくためには重要な作業である。また、依頼資料を1つひとつリスト化することは面倒な作業と思われがちだが、リスト化することによりチーム内での情報共有化や入手資料の棚卸も容易となる。特に評価対象会社に直接コンタクトできない状況にあり、取得会社を経由して資料を依頼しなければならない状況においては、リスト化をはかることで評価実施者→取得会社→評価対象会社の三者間での情報伝達をより正確にかつ効率的に行うことが可能となる。 そこで本章では、無形資産評価において実務上一般的に必要と考えられる依頼資料リストを、全般事項、マーケティング関連無形資産、顧客関連無形資産、芸術関連無形資産、契約に基づく無形資産、技術に基づく無形資産、人的資産の7分野に分けて紹介する。なお、下記リストはあくまで一般的なリストであるため、買収案件によっては、該当しないあるいは不要な資料や、追加で入手が必要となる資料があることに留意願いたい。 さらに、依頼資料リストで評価に必要なすべての資料や情報を完全に網羅できるわけではなく、ましてや依頼資料リストで依頼した資料がすべて入手できることも実際にはまれである。評価実施者は入手可能な資料の中で必要十分な評価作業を行わなければならないが、たとえ初期段階で資料を十分に入手できなかったとしても、評価対象会社担当者への❶ 依頼資料リスト作成の意義とは

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