●調達資金の使途(単なる赤字補填となっていないか?成長資金となっているか?)●現在の資本構成(希薄化する要素はないか?)●今後の資本政策(希薄化する潜在的なリスクはないか?資金が枯渇しやすい売上拡大期をどのように乗り切るのか?)●3 日本企業のベンチャー企業の取得に伴う無形資産の識別・計上347期待利回りSeed試験研究・プロトタイプ試作高高友人、家族、VC売上は、ほぼない(試験売上等のみ)50〜70%Early stageプロトタイプ制作からの商業化低高エンジェル投資家、VC売上は計上されるものの、黒字化は達成できていない40〜60%Later stageビジネスモデルの確立低低VC、戦略的パートナー売上が急拡大すると共に黒字化を達成30〜50%Pre-IPO将来直近でのIPO予定20〜35%出 所: AICPA“Valuation of Portfolio Company Investments of Venture Capital Funds and Private Equity Funds and Other Investment Companies”、Appendix BをもとにDTFAにて作成 評価ガイダンスでは、上表のように、米国のベンチャーキャピタリストの期待利回り(ハードルレート)をもって割引率を推測している。成長ステージごとに、そのリスクも異なるため、期待利回り(ハードルレート)も異なる、というのが基本的な考え方である。なお評価ガイダンスは、実証研究*1における期待利回り(ハードルレート)を要約した内容となっており、古いものでは1987年の研究を参照している。研究発表の時期が異なる複数の実証研究を並べ、期待利回りを推測するアプローチであるが、各成長ステージにおけるベンチャーキャピタリストの期待利回り(ハードルレート)には、発表時期による違いはなく、一貫して同水準となっている(評価ガイダンス、Appendix B、B.02)。すなわち評価ガイダンスは、成長ステージごとの期待利回りには、ある程度の不偏性がある、と主張しているわけだが、その前提に立てば、ベンチャー企業の割引率の要諦は、成長ステージの見極め、と言える。したがって、開示資料やインタビュー等により、どの成長ステージにあるのか、という点を整理していくことが、ベンチャー企業の割引率の検討にあたり重要となる。事業計画の状況研究開発・事業の状況ステージその他の検討事項 ここまで、ベンチャー企業の価値評価についてテクニカルな面から記載してきたが、このほかに価値評価に付随して検討したいポイントとして、例えば、以下がある。リスクの状況技術的商業化出資者
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