M&A 無形資産評価の実務
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Ⅲ7●7  人的資産の評価方法 231 ASC805、IFRS第3号および企業結合会計基準においては、人的資産(Assembled‌Workforce)は無形資産の識別要件(契約法律規準または分離可能性規準)を満たしているか否かにかかわらず、のれんに含めて計上することとされている。したがってこの人的資産は、無形資産の評価の実務においては、算定されるが、財務諸表に区分して計上されることはなく、最終的にはのれんに含まれることになる。 ではなぜ、のれんに含まれてしまうものをあえて算定する必要があるのか。それは、超過収益法による無形資産の算定上、人的資産の使用コストをキャピタルチャージとして考慮する必要があるからである。つまり、人的資産の価値は他の無形資産を超過収益法で算定するためにのみ算定されるものであり、仮に超過収益法で無形資産を評価する必要がない場合は、人的資産の価値は算定する必要はないといえる。❶ のれんとしての計上❷ 算定目的人的資産の評価方法

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