M&A 無形資産評価の実務
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Ⅱ1●1  パーチェスプライスアロケーション(PPA)の業務フロー 113 パーチェスプライスアロケーション(Purchase Price Allocation、以下「PPA」という)とは、企業結合のプロセスにおいて、文字どおり取得価額を各資産負債に配分する作業である。したがって、取得価額が確定した後、つまりディールが終わった後に行われることが一般的である。 このことは、同じ価値評価であってもディール前(基本合意の前あるいは最終合意の前)に行われる企業価値の評価とは、大きく異なることを意味する。すなわち、企業価値評価はディールの前に「対象企業をいくらで取得するか」というビジネス目的から企業価値を計算するのに対し、無形資産評価はディールの後に、確定した企業価値を基に「何をいくらで計上するか」という会計目的に立ち、これを有形資産、無形資産(無形資産等)に配分する作業であるからである。 なお、次ページのスケジュールのとおり、無形資産評価はクロージング後に作業を開始することが一般的であるが、PPAの結果がディール後の財務諸表に重要な影響を及ぼすケースもあることから、無形資産償却見込み額をより早く把握し、経営意思決定に役立てるため、クロージング前の段階で評価作業を開始することも実務的には行われている。クロージング日の貸借対照表等の未確定の数値を仮置きして作業を開始し、初期的な分析により無形資産の金額やその償却影響額を大まかに把握し予算策定等に役立てようとするものである。❶ M&Aのプロセスと無形資産評価の実施時期パーチェスプライスアロケーション(PPA)の業務フロー

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