M&A 無形資産評価の実務
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●4  わが国における企業結合会計と無形資産の認識079加取得した場合にはのれん(または負ののれん発生益)を認識し、持分の一部を売却した場合には売却損益を認識していた。改正後は、支配が継続している中で行われる持分変動取引は資本取引として、親会社持分の変動額と追加投資額または売却額との差額を資本剰余金として処理することとなった(連結会計基準28、29項、資本連結実務指針37、42項)。 ただし、支配獲得に至った取引とそれ以降の追加取得取引が一つの企業結合を構成しているものと考えられる場合、これら複数の取引を一体の取引として取扱うこととされている。この場合、支配獲得に至った取引を含む複数の取引に係るのれんについて、支配獲得時にそれが計上されていたものとして会計処理する(資本連結実務指針66-4項)。 また、子会社株式の一部売却後も当該子会社に対する支配が継続する場合において、売却持分に係るのれんの未償却額がある場合、2013年改正以前は当該売却持分相当ののれんを減額していたが、改正後はこれを減額せず償却を継続することとされた(連結会計基準66-2項、資本連結実務指針44項)。この変更は、追加取得時にのれんを計上しない処理との平仄をとったものと考えられる。 関連する税効果の取扱いについても改正が行われており、子会社株式の追加取得および子会社株式の一部売却により生じた持分変動による差額に係る税効果の調整は、その相手勘定を資本剰余金として計上することとされている(税効果適用指針27、28項)。 なお、これらの処理などにより資本剰余金がマイナスとなる場合には、資本剰余金をゼロとし、マイナスとなる値を利益剰余金から減額する(資本連結実務指針39-2項)。b. 取得関連費用の取扱い 2013年改正以前は、取得とされた企業結合に直接要した費用のうち取得の対価性が認められるもの(外部アドバイザー費用等)は取得原価に含めることとされていたが、2013年改正により、これらを含む取得関連費用はすべて発生した事業年度の費用として処理されることとなった。

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