ファミリービジネスは日本を救う
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周年記念ということで販売されたものなので、マーケット調査としての意味合いは小さかったのかもしれません。後継者の選定と育成今日的な目で見ると、本ケースの後継者選定では初代→二代目と二代目→三代目の承継が難しかったようです。前述のとおり「情」と「理」のせめぎあいになる局面ですが、創業ファミリー支配を続けることが会社に安定をもたらすと考えられます。後継者がオーナー家の直系親族となることについて、会社支配の観点からは、どうして血統が正統性根拠となりうるのか必ずしも合理的な理由はわかりませんが、多くの人々が関わる「政治的」な場面では同意を得やすい形態です。このような原理は洋の東西を問わず妥当するものです。下記のマックス・ウェーバーの支配の類型の考え方も同様です(第■章第■.■)。ファミリービジネスにおいては、創業者のカリスマ、二代目の血統、三代目以降パブリック・カンパニー化すると長期間の競争を経て衆目の一致する者がルールに従って代表になるというパターンです(第■章第■.■)。後継者の育成に関し、現社長はご子息に後継ぎとなることを強制していないようです。ただ、ビジネススクールで経営を学んだあと家業に入ろうと考えるなど、やはり「親の背中を見て」育った後継者候補だという印象を受けます(第■章第■(■))。長期間にわたる専門家の関与とその活用専門家の利用は、問題が発生した時にスポット的に依頼するのではなく、平時から中長期的に関与し、ビジネスやファミリーの全体像を把握したうえでのアドバイスを受けることが望まれます(第■章第■.■)。138

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