│第■章│ケーススタディ137大規模資金調達の必要性、知名度・社会的信頼性向上などどうしても株式上場が必要となる場合を除き、ファミリー経営を維持する方が経営は「やりやすい」と考えます。本件食材会社や後に述べる中川政七商店のように、特に大規模資金調達が必要なく、会社の知名度が十分高く、人材採用等で苦労することが少なく、社会的信用も獲得できているといった場合に、株式上場にこだわる必要性は高くないと思われます。一方、新興のIT企業のように社会的信頼、知名度、採用メリット等を求める会社がIPOに熱心なのは理解できます。なお、近時の新興企業IPOがIT系企業中心となっているのは、製造設備を持たずに利益を上げるにはIT系がフィットしやすいこと、社会的信用を得て高度な人材を採用するニーズが強いことがその背景にあると解されます。M&Aについても本インタビューで触れられていますが、M&A後の「融合」をいかにスムーズに進めるかが大きな課題となります(「PostMergerIntegration」)。トップダウンでなく従業員提案を吸い上げる仕組みの構築企業がある程度発展してくると、創業家のみのトップダウンのアイデアに頼るのは好ましくありません。従業員・現場からもボトムアップの意見を吸い上げ、それを試すシステムが有用となります。松下電器やサントリーの「やってみなはれ」の精神です。マイナーチェンジ&期間限定販売によるマーケット調査新商品マーケティングのために「期間限定品」として販売し、市場ニーズを試すことは有益です。大規模な製造工程・設備の変更を伴うのであれば市場調査から始め十分な準備を経ることが必須ですが、本件のようなマイナーチェンジの場合には小出しにする「期間限定品」の販売で十分だったと思われます。もっとも、これらの商品は創業■■■
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