ファミリービジネスは日本を救う
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│第■章│ファミリービジネスのサクセション(事業承継)(■)ファミリーメンバーの協力と合意承継はファミリー全体の利害に影響するため、ファミリーメンバーの協力・合意がないと進められません。承継のプロセスは、ファミリーのメンバー各々がビジネスからもたらされる影響についてオープンに話し合い、価値観やミッションについて事前に合意することが欠かせません。つまり、「承継」によって組織形態が変わり各メンバーの利害に影響するため、ファミリーメンバーの協力がなければ前に進まないわけです。より具体的には、現経営者が事業承継(親族内の後継者への代替わり)をしようというインセンティブを持つことに加え、それをファミリー内で意見集約することが求められます。その際ファミリーメンバーだけでさまざまな意見をまとめることができない場合には、身近なアドバイザーが代替わりを説得したり、ファミリー内の意見集約のお手伝いをすることがあります。(■)ビジネス変革の好機承継は「ビジネスの構造を抜本的に変え、進化させる好機」と考えるべきです。ファミリービジネスにおいて創業者の理念や価値観を引き継ぎ発展させていくことは非常に重要です。創業者のカリスマ性に惹かれて長く付き従ってきた従業員も多いはずです。しかし、一方で時代や経営環境の変化とともに変わっていくべき要素も出てきます。たとえば、販路を海外に拡大したりインターネットを利用した通信販売を利用する事例がよく見られます。古参の従業員の中にはこのような変化を望まない、あるいは苦々しく思う者もいるかもしれません。そこで、承継を契機に次世代後継者が抜本的な変化をもたらすことが期待されます。守るべきものは守りつつ、世の中の変化に柔軟に対応していくことが大切なのだと思います。43

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