ファミリービジネスは日本を救う
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会を通じて執行者を任免できるため、法律上はオーナーシップの承継が第一義とも考えられますが、経営的にはリーダーシップが承継されないと会社運営が立ち行かなくなるため、これら両方の承継が欠かせないことになります。承継はある一時点で突然起こるように見えますが、この考えは正しくありません。ファミリー企業の経営の観点からは、次世代への承継は長い時間をかけて進んでゆくプロセスと考えるべきです。したがって、承継プロセスのスタートはごく早い段階でスタートする必要があります。創業者が自分の立ち上げた会社を将来の世代にわたってファミリー所有形態であり続けたいと願うのであれば、その決意やファミリービジネスの価値観、ビジョン等を反映したミッションステートメントを用意し、これを受けて創業者の子どもがごく幼い時から承継プロセスをスタートし計画的に進める必要があるとされます。この長い期間を通して、ファミリーのメンバーはビジネスからもたらされる金銭的・心理的な価値について話し合うことになるでしょう。こうして先代の価値観やミッションを次世代に引き継いでいくのです。承継プロセスを早期にスタートし、将来を見据えて計画的に準備をすることは、事業を成功させることと同等以上の重要性をもったリーダーの責務と言えるでしょう。「創業者が毎日出勤している状態でも後継候補は■■歳にもなると承継について考え始めなければならない」(Aronoff,McClure&Ward(■■■■)“FamilyBusinessSuccession”)承継は親世代だけが考えることではありません。後継者となるべき者もいずれトップに立つための心の準備を早い段階から始めるべきです。「承継の準備は揺りかごから始まり、終わることがない。」(ケニョン・ルヴィネ(■■■■)『ファミリービジネス永続の戦略』)42

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