ファミリービジネスは日本を救う
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│第■章│ファミリービジネスのサクセション(事業承継)たり閉鎖したり、他社と合併したりして創業ファミリーは消えていく。」そこで「ファミリービジネスの当事者が夢を維持し実現するためにはGoodplanningが重要だ」と記されます。つまり「ファミリービジネス創業者がそのファミリーによる同族経営を続けながら成長するにはどうすればよいのか」という問いが全体を通じたコンセプトとなっています。一方、我が国で事業承継というと、「親族内承継」、「役員・従業員承継」、「社外への引継ぎ(M&A等)」の■つの類型に区分するのが通例で、親族や社内に適当な後継者が見つからないため廃業してしまうケースやM&Aで外部に売却するケースが増えていると言われます。中小企業庁の「事業承継ガイドライン」でもかなりのページ数をM&Aに割いています。しかしM&Aによってビジネスを売却するとそのファミリーの支配が失われるので、これは継続を意味するサクセションではなく、トレード・セールであると考えるべきです。つまり、海外では「ファミリー経営」の存続がSuc-cession(承継)の目的であり、ファミリー支配が途切れる事態を対象としない点が特徴です。事業承継を考える際には次のような点に留意することが必要です。(■)長期間のプロセスとして考える事業承継とはオーナーシップの承継とリーダーシップの承継に分けて考えることができます。オーナーシップの承継とは、あるオーナー(グループ)から他のオーナーに会社の所有者が移転することです。一方、リーダーシップの承継は、現任の最高執行者(CEO、オーナー経営者)からその他の者に経営の執行の権利と責任を委譲することです。オーナーは取締役41第2承継を考える際の課題

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