的に影響を小さくするに止まる。一般にSPCに関連するリスクを図示したのが図表■・■・■である。以上より、SPCを用いた証券化プログラムの設計にあたっては、関係者、特にオリジネータの倒産時にSPCまたはその発行証券保有者がどのような影響を受けるのかということが検討の中心課題となることが多い。これら関係者の倒産にSPCまたは発行証券が影響を受けないことを倒産隔離(bankruptcyre-moteness)と呼んでいる。SPCを用いても必ずしも倒産隔離されない場合があるが、倒産隔離されないSPCを用いても前述の①の効果が期待できず、その関係者の信用力を上回る証券は組成できない。なお、一般的な証券化プログラムで登場する関係者は図表■・■・■を参照されたい。なお、上記のとおり、自己資本の改善という点は、証券化の導入期において一つの目的ではあったが、証券化取引にともなう証券化エクスポージャーはTier■から控除されるほか、証券化資産を保有する場合には、格付けの状況と自己資本告示に定められたリスクウェイト対応表を用いるなど、一定の方法で自己資本規制上のリスクアセットを算定することとなる。また、バーゼルⅢの段階的実施にともない、早期是正措置の区分について図■・■・■のとおり見直しが行われた。なお■■■■年■月■■日以降、国際統一基準行と内部モデルを用いる国内基準行に対しバーゼルⅢの最終化が適用される予定となっており、リスク計測手法等が大きく変更されることとなる。SPCの取得資産がオリジネータ側でオフバランスになり、かつ連結対象からはずれることにより、たとえば金融機関が金銭債権を譲渡すればBIS基準の自己資本比率は改善される。ただし、その金銭債権が譲渡されたときに売却損が多くないことが条件となることはいうまでもない(図表■・■・■参照)。いずれにせよ、金融機関がオリジネータあるいは信用補完者として登場するプログラムではBIS基準に関する配慮が要求される。金融機関以外の事業会社でも自己資本比率は一般的には改善されるが、ROE(自己資本に対する利回り)は逆に低下することが多い。つまり、事業リスクは低くなり安全性が増すが、株主利回りは低くなることが多い。第1章SPCの法律・会計税務12
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