③SPCを利用して証券の種類を変えること(リパッケージ)④設立国の法制度の利用資産証券化は、次の2で検討するように、「SPCを使いたい」から行うわけではなく、ある資産についてオリジネータ側ではそれを手放してもよく、投資家側では資産価値を背景にした、いつでも譲渡可能な「証券」が欲しいという状態がまずあり、それを実現するために行われる。そこから、「金融仲介機能」とも呼ばれる資産価値の構成要素を証券として分離して保有するという効果が生じる。特に米国等の資産証券化の先進国では、まず年金等の長期投資を行う投資家の、経営者の交代等マネジメントや他の事業上のリスクを含めたコーポレート・リスクから切り離され、単に(その生み出すキャッシュ・フローを含めた)資産価値の変動のみを引き当てる証券に対するニーズがあったために発展したといわれている。つまり、コーポレート・リスクを投資家側で管理するためには、不断の企業行動に対するモニタリングを要するが、一般にそれには限界があり、またモニタリング費用を要する。逆にいうと、モニタリング費用がSPCの組成費用を上回る場合に投資家側のメリットがあることになる。ここで証券化された資産は、通常、短期間で売却することが困難な貸付債権や不動産であったことにも留意する必要がある。このことは、次の三者の比較をするとよくわかる。①オリジネータが自らある資産を担保とする担保付社債を発行する場合②投資家が単にその資産を購入・保有する場合③関係者の倒産から影響を受けないSPCにより資産価値を証券化した場合①ではオリジネータのコーポレート・リスクから切り離されず、②では投資家は自らその資産全体を管理・処分する必要性が生ずる。投資家が資産全体を管理・処分しないでよくなることは証券化一般の効果だが、コーポレート・リスクからの分離はSPCを用いることによる効果である。また、そのオリジネータ側での反射的効果として、一般に会計上のオフバランスやSPCを連結対象にしないでよくなるという効果が期待できる。もっとも、関係者のコーポレート・リスクからSPCを完全に隔離することは一般的には不可能であり、相対第1節SPCのメリットと流動化スキームのチェックリスト11
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