に関する法律」(以下「SPC法」という)に改組され、これを契機として国内SPCの設立への機運が一気に高まったのである。その後、信託法の改正とこれにともなう税制の整備、会社法・金融商品取引法等の大規模な法整備やLPS法の制定等を経て、資産の流動化手法は様々に発達し、新たなファイナンス手法として広く定着するに至った。またJ−REITの登場や、クラウドファンディングによる不動産小口化商品の出現により、証券化不動産は一般的な投資対象としても確立されたのである。また、近年ではこうした証券についてブロックチェーンを利用したデジタル化も模索されており、実用段階に入っている(第■章を参照のこと)。ところで、わが国の資産の流動化は主に不動産の流動化スキームを通じて拡大し、確立された経緯があることから、資産の流動化と不動産の流動化は混同されることもあるが、これらはイコールではなく、流動化の対象となる資産には不動産のみならず債券、事業(株式や出資)、著作権、知的財産などの資産を幅広く含む。また、通常、資産の流動化には、資産から生じる一定のキャッシュ・フローをオリジネータから切り離す等の目的により、資産の器として用いるヴィークルが必要となる。この資産の保有を目的として設立される法主体を一般的に「特別目的会社(SpecialPurposeCompany)=SPC」と呼ぶため、本書においてもそのように定義する。なお、法人形式以外のヴィークルとして、匿名組合をはじめとする組合や、信託等も、単体、あるいはSPCと組み合わせて利用される。法人以外のこれらの器も広く含めて指す場合には「SPV(SpecialPurposeVehicle)」と呼ぶこととする。なお、SPC法による「特定目的会社」はここにいうSPCよりも狭義のものとなるため、区別してTMKと称する。すなわち、図表■・■・■にあるように、TMKはSPCの一部であり、SPCはSPVの一部である。第1章SPCの法律・会計税務4
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