成功する 健康経営実践ガイド
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2 課題B社はコロナ禍で緊急避難的にテレワークを開始しました。商品企画部、営業部の社員は、新型コロナウイルス感染拡大前は海産物の仕入れ等で日本各地へ、あるいは海外へ赴くことも多くありましたが、現在はオンライン会議で取引先と打ち合わせを行っており、在宅勤務も併用しています。オンライン会議導入からしばらくの間、ベテラン社員が抵抗を示し、「対面での打ち合わせでないと意思疎通ができにくい! 感染予防をしっかりとすれば今まで通りの会議ができる!」と主張し、混乱が生じたことがありました。また、一般社員からも「会社からは情報セキュリティには十分注意するようにと言われているが、家庭ではインターネット接続が不安定、仕事を行うスペースもなく、家族と共用のパソコンしか持っていない。」という戸惑いの声が寄せられていました。パソコンの操作に慣れない一部の比較的上位職の社員は、こうした変化についていくことが難しく、不慣れな操作についてのトラブルやストレスが原因で頭痛や肩こりを訴える例もありました。親会社から出向してきた若手社員達が、オンライン会議の方法、パソコン操作、家庭内でのネットワーク環境の設定方法、情報セキュリティに関することなどのアドバイスをする申出もありましたが、中高齢の生え抜き社員とのコミュニケーション不足により、なかなか連携が進みませんでした。オンライン会議システム、電話、メール等で業務連絡はここ数か月で概ね問題なく回るようにはなったものの、テレワークによって部所間、社員間のコミュニケーション不足が引き続き生じており、情報不足や行き違い、孤独感などから社内で軋轢が生じることが度々ありました。社員同士の横のつながりや日々の雑談などのやりとりが減ったこともあり、お互いが安心して働くことができる環境が必要と感じています。また、今年入社した新入社員がなかなか出社の機会がなく、同期入社した者との顔合わせもままならないまま、心身に不調をきたして2か月ほどで退職してしまう事例もありました。第2節 製造業における健康経営への取り組み例323

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