2 健康は目的ではなく手段健康経営の取り組みに参加する皆様が勘違いしやすい点があります。実第1章 なぜ今「健康経営」が求められるのか?6の中で結構なウエイトを占める「人事労務管理」は、通常業務の中で対応していると推測しますが、実はそれはもったいない状況であるとも言えますので、それぞれの通常業務を健康経営にまとめてみましょう。加えて、働き方改革やwithコロナも含めて横串をさし、その先にある生産性向上と業績向上を見据えて健康経営に取り組んでください。は、健康になることは目的ではなく「手段」です。それでは目的とは何でしょうか。健康経営に熱心に取り組んでいる経営者は、従業員の健康を願っていますが、本来の目的は企業の継続的な発展であることは言うまでもありません。一方、従業員が健康になる目的は何でしょうか。人生100年時代を迎えていると言われていますが、働く意欲がある方が70歳まで就業しても、まだ30年も人生が続きますし、ワーク・ライフ・バランスの観点からいっても人生は仕事だけではありません。仕事とバランスを取りながら、勉強したり、趣味を楽しんだり、自治会活動で地域に貢献したり等、自分の人生の自己実現のために健康であることを願い、それを目的とするのではないでしょうか。個々が一念発起し、健康維持増進のためにダイエットをしたり、ウォーキングをしたり等、さまざまな取り組みをスタートさせても正直なかなか継続できないことが現実です。そこで健康経営の出番です。例えば、就業時間内でラジオ体操やストレッチを実施したり、自動販売機の中身を入れ替えたり、定期的な健康情報の提供をしたり等、企業がサポートすることにより変化が生まれ、個々の従業員の行動変容が起こりやすくなるといえるでしょう。
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