そのような中で、組織のあり方の見直しや戦略として、組織再編という組織的な改革がより活用されています。また、平成29年度税制改正においては、スピンオフ税制等の整備がなされ、より組織再編が有効活用される仕組みとなりました。さらに平成30年にも無対価組織再編や事業承継等についても改正が予定されており、組織再編の活用方法が注目されているところであります。このような背景を受けて、専門家の方々にとっては、組織再編に関する相談や依頼に的確に対応していく必要があります。また、その相談や依頼については法務・会計・税務のあらゆる影響を検討しなければなりません。企業の管理部の方々にとっても同様に、多方面への影響を検討することが必要になります。そこで本書では、組織再編に関する検討事項を、より実務の現場に沿った形で顧客からの相談形式に乗せて、さらには法務・会計・税務の三方向を検討する形で記載しています。網羅的・体系的に、法務・会計・税務などを整理した書籍や、事例が充実した書籍は多くありますが、本書は組織再編を実施するに至る目的に応じて、その適したスキームを構築する思考回路に沿って解説を進めている点で、類書にはない切り口となっています。それぞれのメリットやデメリットも理解できるため、これから組織再編を考える人がより適切な判断をするうえで有用な1冊です。例えば、事業承継をする場合には、事業承継者の存在の有無によって、さらには事業承継者がいる場合にはその人達の間の関係も考慮にいれて事業承継スキームを検討する必要があります。そこで本書では、承継者ごとに会社を分離するスキームや家族内に事業承継者が不在の場合の要企業の経済活動が多様化していく中で、より組織的な経営が求められる時代となりました。また、グループ企業を持つ企業にとっては、グループ経営が主流です。はじめに
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