現代税法入門塾
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 本書は、わが国の税金や財政の法制度の基本について、できるだけわかりやすく書き上げたものです。社会人や学生が、納税者として学んでおくべきことがらを選んで、まとめあげました。本書を一つの出発点として、税法についての基本的な知識を得て、納税者としての自覚を高められることを期待しています。 また、本書は、税務の専門家や大学院生などが、平易な税法学の専門書として使えるように、さまざまな機能をインプットし、書き上げました。具体的には、法令などの条文を入れ、国税不服審判所の裁決や裁判所の判例で重要なものを引用し、さらに深く研究する場合に参考にできる「アドバンス文献」をあげるように努めました。 このところ、大学が大きな変革のなかにあります。大学教育の大衆化のなかで、「研究」に加え、「教育」のあり方が問われてきています。カリキュラムの見直し、少人数教育、学生による教員評価など、さまざまな試みが繰り返されてきています。 一方で、「消費者意識」の薄い学生と「消費者サービス意識」の薄い教職員が大勢を占めるという、わが国の大学界に特有の構造問題があります。この問題は、まさに、さまざま試みられる改革の手法があまりよい成果につながらない原因のようにもみえます。 いずれにせよ、学生が授業を理解できない、教科書が難しすぎるなど、教える側の「消費者サービス意識」の希薄さを指摘する声が日増しに強くなってきているのも、無視し得ない現実です。特に、新聞・雑誌は、内容が難しくとも、流れるように文章が読める。これに対して、大学の教科書は機能不全を起しているかのように、文章が流れない。こうした指摘を、深刻に受け止める必要があります。図解などを用い専門記事を極めて簡潔に紹介できるテレビの解説者の方が、大学教育の現場に適しているのではないかとの指摘もある始末です。 税法は、くらしに身近な科目と思って履修したものの、使っている教科書ははじめに〜社会人、学生が主役の税法レクチャーをめざして

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