現代税法入門塾
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6555.3.7質問応答記録書とは何か◎質問応答記録書とは 所得税や法人税、消費税、相続税のような国の主な税金は、申告納税制度を採っています。この制度のもと、納税者は、税法に従って自分で税金を計算して期日までに納税することになっています。もちろん自分で申告納税するのは難しいと思うこともあると思います。この場合には、税理士などの専門家に依頼する必要がでてきます。 申告書の提出があると、税務署はその申告内容をチェックします。そして必要があれば、申告内容を確認するための税務調査をします(☛5.3.4)。なお、税務調査は、申告する義務があるにもかかわらず申告をしていない場合にも行われます。ポイント 最近、税務調査のなかで、「質問応答記録書」が頻繁に使われるようになっています。質問応答記録書とは、納税者やその取引相手などに税務署の調査官が質問し、回答内容を記録し、記録後に回答者に対して署名押印を求める文書(書面)です。税務調査ではっきりしなかった事実を対面、問答形式などで確認し、証拠(エビデンス)固めすることを狙いとしています。いわば「税務版自白調書」です。 質問応答記録書制度は、回答者の権利利益に大きな影響を及ぼします。ところがこの制度は税法を根拠としていません。国税庁の内部通達(事務運営指針)「質問応答記録書作成の手引について」(「手引書」)で運用されています。この手引書は、一般には公開されていません。情報公開法を使い開示請求すれば入手できます。しかし、黒塗りされた部分が多く、重要な部分は読めません。秘密の法定外手続による質問応答記録書作成実務は密室税務行政を助長しています。廃止か抜本的な透明化を含め再検討すべきです。

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