二重課税の調整を主たる目的とするもの外国税額控除制度[所得税法、法人税法(本法)で規定]自国の課税権を護ることを主たる目的とするもの⒜外国子会社合算(CFC)税制[法人や個人を対象に租税特別措置法で規定]⒝移転価格税制[法人のみを対象に租税特別措置法で規定]⒞過少資本税制[法人のみを対象に租税特別措置法で規定]⒟過大支払利子税制[法人や個人を対象に租税特別措置法で規定]⒠非居住者(個人非居住者・外国法人)課税制[所得税法・法人税法(本法)で規定居住者対象の税制非居住者対象の税制 国際課税にルールや仕組みを定めた国内税法の体系◎広がる国際税法の研究対象 国際税法の研究対象は久しく、所得課税に関する国際二重課税の調整のための租税条約の研究が中心でした。各国が他国と締結する租税条約のほとんどは、経済協力開発機構(OECD)のモデル租税条約(1963年、1977年改正)を参考につくられています。このため、国際税法の研究では、モデル租税条約と、これを基につくられた二国間租税条約が主な精査の対象とされてきました。 その後、企業の多国籍化が進み、この多国籍企業の租税回避戦略が、国際税法上のあらたな課題として浮上しました。具体的には、タックス・ヘイブン(軽課税国/無税国)の濫用規制、トランスファー・プライシング(移転価格操作)の規制、過少資本の規制などです。その他に、企業が、租税条約上の有利な点を活用する目的で、その条約の締約国に名目上の子会社(mail-boxcompany、papercompany)を設立する、いわゆる「条約あさり(treatyshopping)」も問題になりました。 また、国際課税上の公平や中立性のルールを無視して、動きの速い経済活動に対して競って優遇税制を導入する国が増えていきました。外国からの金融その他のサービス産業を自国に誘致するのが主なねらいです。しかし、こうした549
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