現代税法入門塾
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517 所得控除は、給与所得や事業所得といった各種所得の金額の計算の段階では考慮されなかった損失や支出金額について、税負担の面での調整を行おうという趣旨で設けられているものです。所得控除は15種類あり、これらは、大まかにいうと、①課税最低限の保障、②担税力の縮減の考慮、③個人的事情の考慮および④社会政策目的、をねらいに設けられています。3.3 所得控除:所得から差し引ける金額ポイント 「所得控除」は15種類あり、大きく“人的控除”と“物的控除”とに分けられます。これらはどのような目的で設けられているのでしょうか、そしてどのような種類があるのでしょうか。3.3.1所得控除とは何か◎所得控除の目的と種類 同じ収入があるとしても、ふつう、扶養家族を抱えた人は、独身の人よりも家計が苦しいはずです。また、災害にあった人とそうでない人の場合とを比べても、同様のことがいえるはずです。 このように、人によって異なる生活状況をきめ細かく税金の計算に織り込もうということで設けられているのが「所得控除」の制度です。このような所得控除制度は、所得税の目立つ特徴の1つといえます。これは、家計が苦しい人も、そうでない人も、一律10%(8%)の負担を求められる消費税と比べてみるとよくわかると思います。 所得控除は、給与所得や事業所得などさまざまな所得の金額を計算する段階では考慮されなかった各納税者の事情や支出、損害を調整しようということで

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