現代税法入門塾
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 電子データ保存に関するシステム要件のあらまし❶        記録項目の訂正または削除等の履歴を保存できる(トレーサビリティ「提示または提出等の要求」と「ダウンロードの求め」❷        帳簿間での記録事項の相互関連性を確保できるシステムであること。❸     次について検索できるシステムであること。・日付または金額の範囲指定により検索できること。・2つ以上の任意の記録事項の範囲指定により検索できること。説明書等の備付け備え付けること。❺          ディスプレイやプリンターでいつでも出力できるシステムであること。モニター等の備付け❻         電子データ化された国税関係帳簿書類を税務職員の求めに応じて提示ダウンロード要件または提出(ダウンロード)できるようにしておくこと(電帳法規2②三など)。なお、電帳法通達4-14では、「提示または提出等の要求」を「ダウンロードの求め」と言い換えています。❹         事業者は、既要説明書やマニュアルなどシステム開発関係書類等を訂正等履歴要件ある)システムであること。相互関連性要件検索要件・記録事項検索 取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じて主要な記録事項のより検索できること。【2022年1月1日からは、取引年月日、取引金額、取引先に限定】Column 国税関係帳簿書類などを電子データで保存するとします。この場合、税務調査において、調査担当官からのその電磁的記録の提示または提出の要求(これを「電磁的記録の提示等の要求」といいます。)に応じることができるようにしていることが求められます(電帳法規4①かっこ書き)。ただし、この税務調査における提示または提出の要求は、その「客観的必要性」がある場合に限り要求できる調査担当官の権限ととされています(国通法74の2①・☛5.3.5)。しかし電帳法通達4-14では、「提示または提出等の要求」を「ダウンロードの求め」と一括りにしたうえで言い換えています。そしてこの「ダウンロードの求め」とは、「実際にそのダウンロードの求めがあった場合には、その求めに応じることをいうのであり、『その要求に応じること』とは、当該職員の求めの全てに応じた場合をいうのであって、その求めに一部でも応じない場合はこれらの規定の適用は受けられない」としています。この通達からは保存義務者は当該職員の要求に無条件で応じなければならないようなニュアンスが感じ取れます。しかし、「電磁的記録の提示等の要求」、「ダウンロードの求め」にも、「客観的必要性」を前提としたものであり、一定の限界があるはずです。(阿部 徳幸)109◎電子帳簿保存の関するシステム要件とは何か 電帳法や電帳法施行規則は、国税関係帳簿書類などを電子データで保存するためのさまざまなシステム要件(ルール)を定めています(電帳法4①・4②・4③2、電帳法規旧3①・旧3②など)。これらのルールは、2022(令和4)年1月1日を起点に大きく変わりましたが、おおまかに一覧にしてみると、次のとおりです。

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