徹底解説 課税上のグレーゾーン
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なります。この2点が税務調査において極めて重要なポイントであると肌で感じています。理論上、課税要件が明確であり、また、事実関係が明確であれば、税務判断は容易であるといえます。しかしながら、課税要件の中には、いわゆる不確定概念や不確定概念が用いられた評価的要件といわれる要件があり、その評価的要件の射程が明確でないことや、その評価的要件を充足するための事実認定に関して見解の相違が生じるケースが非常に多いと受け止めています。課税庁においては、税務調査手続の法定化を契機に、課税庁内部の審理部署の体制整備・強化を図るとともに、従来にも増して証拠に基づく的確な事実認定に重きを置き、課税処分の適法性を確保することにより、更なる「適正・公平課税の実現」に向けた税務調査を実施しているという印象を受けています。その背景には、全ての課税処分に理由附記が必要となったことがあると考えられます。具体的には、課税要件の充足性に関し、税務調査において事実関係が不明確である場合に、調査において聴取した事項の正確性を期するため、課税要件の充足性を確認する上で重要と認められる事項について、問答形式等で「質問応答記録書」を作成することが励行されているのが顕著な例といえます。本書においては、税務調査でとかく課税上の争点となりやすい事項について、その要因を探るとともに、税務判断における思考過程を検証しています。具体的には、過去の裁判例・裁決事例などから税務判断のポイントを明確にし、税務調査における主要な争点の思考過程を深掘りしています。本書が、課税上のグレーゾーンにおける的確な税務判断の一助となれば幸いです。なお、本書の意見にわたる部分は私見であることをお断りしておきます。

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