《ポイント》費用として損金に計上を認められるためには、その費用が事業活動と直接の関連をもち、事業の遂行上必要な費用でなければならない。なお、課税要件の法令解釈として「業務の遂行上通常必要な費用」とまでは解することはできず、必要性の要件を満たせば十分であって、通常性要件を満たすことまでは求められていない。上記の例として、所得税の事業所得の金額の計算において、減価償却費の計上については「事業専用割合」や「貸付割合」を勘案して算出するのに対し、法人税の所得金額の計算においてはそのような規定や概念はありません。⑵ 法人経費の範囲に関する判断規範上記の課税要件に関する規定と裁判例における法令解釈などによると、法人経費の範囲に関する判断ポイントは、次のようにまとめることができます。このように、損金性の要件は、一義的には、事業の遂行上必要な費用であることが求められ、例えば、過大役員給与(法法34②)など別段の定めがあるものを除き、他の法人は通常支出しない費用であるとか、他の法人が通常支出する額に比べ極めて多額であるというように通常性の範囲から逸脱していることのみをもって損金性が否認されることはないと考えられています。44
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