本書を執筆している6名は、いずれも独立して仕事をしている税理士で、2012年から月1回、集まって勉強会を実施しているメンバーです。その勉強会で2017年の春に仮想通貨(当時)をテーマに取り上げたことが、本書の前書である『事例で学ぶ ビットコインの会計・税務Q&A50選』を執筆する発端となりました。2017年は、仮想通貨元年とも言われた年で、仮想通貨を法律上初めて定義した資金決済法が4月に施行され、企業会計基準委員会(ASBJ)が、日本公認会計士協会から提言を受け、仮想通貨に関する会計基準の策定を目指して議論を開始し、まさに仮想通貨に関する日本の法整備が動き出した時期でした。 2017年4月には、大手家電量販店のビックカメラが有楽町店及び新宿東口店でビットコイン決済を導入し、話題となりました。私も携帯にウォレットをダウンロードして、試しにビットコイン決済で延長コードを購入しました。六本木や新宿など都内の繁華街でも、ビットコイン決済ができるお店が次々を増え、仮想通貨が法定通貨と並んで決済通貨としての役割を果たすようになるのではという期待感がありました。そのため、前書では、ビジネスのさまざまな取引で仮想通貨が決済手段として機能することを想定したQ&Aを設定して執筆しました。その後、暗号資産が歩んだ経緯は決して平坦なものではなく、暗号資産取引所での相次ぐハッキング事件やICO(Initial Coin O■ering)の異常な過熱ぶりと不正なプロジェクトの横行、その結果としての各国の規制の動きなど暗号資産に対する信頼が失墜し相場が急落する場面もありました。 現在の暗号資産は、専ら投資対象として購入され、決済機能や資金調達などの面では、当初の期待を損なう状況になっていますが、暗号資産を可能にしているブロックチェーン技術を活用した新たな動きもあり、自治体による地域振興券のアプリ上での発行、管理や食品のトレーサビはじめに
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