金融・投資商品の税務Q&A金融・投資商品の税務Q&A
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日本の2016年の家計の金融資産は1,800兆円に上るという統計が日本銀行から公表されています。ゼロパーセント金利が続く中、従来は銀行定期預金、郵便貯金が中心であったものが、株式、債券、投資信託、ETF、EB債を含むデリバティブ取引等に加えて、外国株式、外国債券、外国投資信託等への投資や、国内外の不動産投資、それらを信託で束ねた商品も増加しています。また、高額納税者の税負担は年々増加しており、彼らにとって、投資利回りも確保でき、節税につながる商品――太陽光パネル、航空機、海外不動産、海外パートナーシップ、海外私募投信など――への投資も増えています。近年登場したビットコインを含む新しい金融資産、金、為替先物取引等についても積極的に取り組まれています。一方、こうした投資へのリターンに対しては課税があり、それぞれについて税制の理解が不可欠です。そして、こうしたあらゆる分野の税務を常にアップデートできている人材はあまりいないというのが実情です。これは、個人に対する金融・投資商品課税に関しては、所得税が10種類の所得分類を設けていることもあり複雑であることに加えて、1)個人を主なクライアントにもつ税理士にとっては、頻繁にある相談ではなく、調べる機会が限られていること、2)金融所得一体課税をはじめ、毎年の改正税法をキャッチアップしていくには相当な時間が必要なこと、3)次々に開発される新しい金融・投資商品の仕組みを理解すること自体も困難なこと、があげられます。以上のような理由から、国内外で提供されるさまざまな金融・投資商品を最新の税制に基づいて解説する書籍はほとんど見当たらないように感じていました。私どもの税理士法人の金融部では、常日頃から金融機関の方々をはじめ、多くの方から課税関係に関する相談を受けており、海外商品についても、はしがき

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