第1章株式の税務(2) 上場株式等に係る配当所得の課税の特例10%です。株主(大口株主等)には、適用が認められていません。「(略)ある上場会社の株式を保有している個人株主が、当該上場会社の株式を保有している法人の発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する株式の50%超を保有して同法人を支配している場合(この場合の個人株主を「特殊関係個人株主」、法人を「特殊関係法人株主」という。)には、特殊関係個人株主の持株割合が3%未満であっても、特殊関係法人株主を通じるなどして上場会社に対する持株割合を実質的に3%以上とすることが可能となる。42 (中略)なお、総合課税の場合、配当控除の適用を受けることができます。金融商品取引所に上場されている株式(上場株式等)に係る配当の場合、源泉徴収税率は20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)が適用され、確定申告の際には、他の所得と区分して税額計算することが認められています(申告分離課税)。この場合の税率は、源泉徴収税率と同じ20.315%が適用されます。なお、申告分離課税を選択した場合、上場株式等の譲渡損失との損益通算が認められます(配当控除は適用なし)。また、確定申告を不要とする特例も設けられ(申告不要制度)、これを選択した場合には、源泉徴収のみで課税関係が終了することになります(ただし、上場株式等の譲渡損失との損益通算は認められません)。ただし、これらの特例は、株式の保有割合が3%以上である大口の個人これは、上場株式等に係る配当に対する課税の特例制度が、「貯蓄から投資へ」という政策課題への対応や金融所得課税一体化のための施策として、納税者の事務負担の軽減や金融所得の課税方式の均衡を図るために設けられたものであるところ、保有割合が3%以上である個人株主は、株式の保有が会社の経営に参画する持分としての事業参加的側面が強いことを考慮したものと解されています。(3) 令和4年度税制改正における要件の見直し会計検査院による「令和2年度決算検査報告」によれば、
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