第 1 節 立場が違えばスタンスも変わる第 2 節 認定賞与と第二次納税義務218 税務署における課税と徴収は、税務行政を執行するいわば「右手」と「左手」です。同じ税務署長の下で、右手は適正な課税のために税務調査を行い、左手は課税された税金の徴収を行いますが、その右手と左手がバラバラな行動をすれば納税者は納得できないと思います。 しかし課税と徴収とでは、それぞれが行動する基礎になる事実認定において、課税は“実質に基づくアプローチ”をするのに対して、徴収は“私法関係を基礎にしたアプローチ”という違いがあります(第Ⅲ部第1章参照)。そこから、Aという事実認定の下で課税がされたのに、その税金を徴収する局面においてはBという違う事実認定がされるケースが生じます。 課税における事実認定と徴収の事実認定の違いが顕著に表れた事例に、認定賞与と無償等の第二次納税義務の関係があります。【事例1】(参考:平成7年11月17日裁決) 建築業を営むA社は、代表者Bほか数名の従業員で業務を行う会社だったが、スポットで受注した工事代金を決算に計上せず、直接にBの預金第 3 章課税と徴収のアプローチの違い
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