第 1 節 みなし法人18第 Ⅰ 部 法人税法とみなし規定 「人格のない社団等」は、法人税法第2条第八号において「法人でない 本問は、みなし規定である法人税法第3条(人格のない社団等に対するこの法律の適用)をめぐる問題として取り上げましたが、このみなし規定が適用されるのは法人税法第2条第八号に定義されている「人格のない社団等」に該当する場合ですから、法人税法第3条のみなし規定をめぐる争いは人格のない社団等該当性が争点となります(以下、「人格のない社団等」は「人格なき社団等」とも表記します)。 人格のない社団等に関する法人税法上の定義要件は「代表者又は管理人の定めがある」ことですが(法法2八)、後述するように、判例はこの法人税法上の定義要件だけでは判断しておらず、人格のない社団等に該当するというためには、4要件(イ.団体としても組織を備え、ロ.多数決の原則が行われ、ハ.構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、ニ.その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他の団体としての主要な点が確定している)を充たす必要があると判示しています。これは、判例が「法人格を有しない社団すなわち権利能力のない社団」と述べているように両者は同義であるとしていることから、人格のない社団等の該当性を判断するに当たって、「権利能力のない社団」の成立要件について判示した昭和39年10月15日最高裁判決を引用しているためです。法人税法上の定義要件「代表者又は管理人の定め」は、上記4要件のうち、ニ.の「代表の方法…が確定している」場合に相当すると思われます。(1)法人税法における人格のない社団等に対するこの法律の適用(2)「人格のない社団等」に対する法人税法の適用と法人税の納付義務解 説
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