10断をせずに、税務署長が重加算税を賦課決定した場合に、自動的に「重加算金」を徴収することになっている。条文のどこにもそのようなことは記載されていないのであるが、それに関するところの「取扱通知」があるという。すなわち、「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」(平10.4. 1、自治府第51号、各都道府県知事あて自治事務次官通知)である。そこには「法第72条の47の規定によって重加算金を徴収する場合において、課税標準の基礎となるべき事実について仮装隠蔽が行われたかどうかについては、原則として法人税において仮装隠蔽の事実があるものとされたかどうかによって判定すべきものであること」と述べられている。しかし、一片の事務次官の通知によって、このような課税を行うことができるのかどうか疑問である。 「隠蔽又は仮装」という納税者にとって極めて不利な認定をするのであるから、知事独自の判断をせずに、重加算金を課することは許されないと考えられる。さらに、納税者が税務署と重加算税の賦課決定処分を争っている最中であっても、知事は重加算金を徴収しようとする。独自の判断ができないというなら、少なくとも、重加算税の賦課決定処分が確定するまでは、重加算金の徴収は待つべきである。地方自治体は、国から税源移譲を欲するならば、もっと税務調査能力を養う必要がある。
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