第Ⅱ編 不動産の評価 2 登記準則68条3号の解釈等この定めは、土地の地目は、その土地の課税時期の利用状況を表しており、例えば、ある土地の利用状況が、自宅と畑である場合には、自宅部分は宅地として、畑部分は農地として評価するのが、社会経済における取引単位の観点から合理性が高いからだと解されます。登記準則68条柱書は、同条各号に定める地目について、土地の現況及び利用目的に重点を置き、土地全体としての状況を観察して認定することとし、その地目のうち宅地とは、同条3号において「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」と定めています。この同条3号の規定の解釈について、固定資産税務研究会編『固定資産税評価基準解説(土地編)』((一財)地方財務協会)では、登記準則68条3号の規定を引用した上で、「宅地とは、建物の敷地のみに限定されず、建物の風致又は風水防に要する樹木の生育地、建物に付随する庭園、通路等のように、建物に便益を与え、又は宅地の効用に必要な土地についても含まれる。」旨述べています。 3 商業施設内に設置された調整池の固定資産税の地目認定に関する最高裁の商業施設の開発行為で設置等が義務付けられた調整池の地目について、市が「建物の維持若しくは効用を果たすために必要な土地」に当たるとして宅地と認定した上で、決定した登録価格(地法411①)の取消しを求める訴訟において、⑴ 原審である名古屋高裁平成30年3月23日判決は、「本件商業施設に係る開発行為については調整池の設置等が義務付けられ、これによって本件各土地が調整池の用に供されることとなっており、開発許可を受けるに際しては、その調整機能を保持するのが許可条件とされていることから、本件各土地は、本件商業施設が適法に開発許可を受け、同施設が所有事のための洪水調整機能を維持して安全に運営を継続するために必要なものである。したがって、本件各土地は、宅地である本件商業施設の敷地を維持するために必要な土地と認められるから、本件各土地の地目をいずれも宅地と認定した上で決定された本件各登録価格は、評価基準によって決定される価格を上回るものではなく適法である。」旨判示していましたが、⑵ 上告審である最高裁平成31年4月9日判決は、「本件各土地は、本件商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供することとされ、排水調整の必要がなくなるまでその機能を保持するのが上記開発行為の許可条件となっているというのであるが、開発許可に上記条件が付されていることは、本件各土地の用途が制限を受けることを意味するにとどまり、また、開発行為に伴う洪水調整の方法として設けられた調整池の機能は、一般56判断
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