相続・事業承継に役立つ生命保険活用術
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はじめに「バレンタイン・ショック」に端を発した法人保険の税務取扱いにつき、パブリックコメント公表(平成31年4月11日)、通達発遣(令和元年6月28日)、FAQ公表(令和元年7月9日)と次々に方向性が示され、保険会社だけでなくその販売を担う保険募集人に大きな影響を与えました。そのため、決算対策として全損保険販売の依存度の高かった保険募集人は苦戦を強いられる結果となりました。入口戦略としての損金計上では立ち行かなくなった瞬間です。そのため、生命保険本来の機能である「保障」が改めて見直される結果となりましたが、その機能を発揮するのが将来であるため具体的な出口イメージが掴めないという話もよく聞かれます。これは生命保険の出口戦略が掴めないことを意味します。また、お客様の問題解決の最前線に立つ税理士にとっても生命保険の活用は必要不可欠であり、税務処理だけでなく活用方法の確立が求められています。金融庁管轄の金融商品でありながら「体況」が関係するという商品特性に目を向け、経済合理性だけでなく「保障」という本来的機能に着目する必要があると考えます。個人保険であれば相続問題解決、法人保険であれば事業承継問題解決、というイメージを払拭し両者を有機的一体と捉えた活用方法を検討すべきです。本書は、私自身の経験値・税理士や保険募集人を始めとするFPから質問された事項をもとに構成しています。相続・事業承継問題を解決するために、生命保険は必須のツールとなりますが、生命保険「だけ」で全てを解決できるわけではありません。私見ではありますが、生命保険と両輪を成すツールは遺言と考えており、本書では各々の限界も示し相互保険の関係にあることを示しています。まず、第1章は「相続・事業承継問題の本質的理解」とし、各問題の本質論を展開しています。税務問題という側面が強調されがちですが、相続問題であれば「遺産分割」の重要性、事業承継問題であれば「経営承継」の重要性を説いています。財産問題や経営承継問題という複合的な問題と捉えつつ、生命保

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